本日1グラム辺りの金（貴金属）相場価格

2025年8月の金相場の見通し

7月の金融市場は株高によりリスクオンが進み、金が上昇するには厳しい状況が続きました。しかし、8月1日に発表された米雇用統計は市場予想を大きく下回る結果となり、環境が変化する可能性も浮上しています。7月の金市場を振り返るとともに、8月の金市場を見る上でのポイントを解説します。

円建ての金は小幅高で一時16,000円に到達、7月の金相場を振り返る

7月の金価格（国内金標準先物、限月つなぎ）は月足を見ると、上ヒゲのある陽線を形成しました。3月の大幅高の後、4月から方向感のない状態が続きましたが、7月は小幅ながら上昇が進んでいます。価格も15,000円台半ばから上昇し、一時的に16,000円に到達しました。16,000円は割れて15,959円で7月を終えたものの、16,000円回復が期待できる値位置であり、8月の上昇により16,000円台の定着が期待されます。

ドル建て金価格は方向感のない状態が続く

ドル建ての金（COMEX金先物、限月つなぎ）の7月の月足は、上ヒゲの長い陰線となりました。5月から3ヵ月連続で陰線となりましたが、いずれもヒゲが長く実体の短い状態であり、明確な下落には至らず方向感のない状態です。しかしジリ高に近い円建てと比べると、ドル建ては4月の上昇後の水準を維持し横ばいの推移が続いています。

ただし、7月に上昇した円建てと比べる、ドル建ては若干下落という結果となりました。

6月同様にリスクオンが進んだ7月の金融市場

金には明確な方向性が出ない7月となりましたが、金融市場全体としては6月からのリスクオンが続いた1ヵ月となりました。米株式市場ではナスダック総合指数と、S&P500指数が6月に続き高値を更新しています。ダウ平均も一時的ながら高値を更新しており、米株式市場は全体として上昇が進みました。

日経平均も7月23日の日米の関税合意を契機に大きく上昇し、一時42,000円台に到達しています。日経平均よりも株式市場全体の方向性を示すTOPIXを見ると、7月は史上最高値を更新。日米ともにリスクオンで株式市場に注目が集まる結果となりました。リスクオンが進む中では、金価格の明確な上昇は環境的に難しかったと言えます。

ドルが昨年12月以来の上昇を見せる

ドル建て金価格はドルの影響を受けます。その中で、ドルの価値を示すドルインデックスは2025年1月のトランプ政権の発足以降は下落が続いており、直近では昨年12月の上昇（月足の陽線）が最後となっていました。特に2月から下落が加速していましたが、7月は反発しています。6月の下落幅を超える反発を見せており、ドルの下落がいったん止まる形となりました。

7月はドル上昇（ドル建て金は下落しやすくなります）の中でドル建て金価格は若干下落しており、ドルから見るとドル建て金価格には若干の逆風が吹いた状態です。

8月の金価格を見る上でのポイント、米雇用統計が予想を大幅に下回る

7月の金融市場はリスクオンが続き、金の上昇には厳しい環境にありました。しかし8月に入り、1日に発表された米雇用統計は予想を大きく下回る結果となり、ダウ平均は500ドル以上下落して取引を終えました。また、上昇が続いていたドルインデックスも大きく反落しています。

8月米雇用統計の大幅悪化は、ファンダメンタルズの変化を示唆しており、6月から続いたリスクオンの市場環境が変化するイベントとなり得ます。株安が進み環境がリスク回避に転じるなら、これまで方向感の出なかった金は上昇に向かう可能性も。ただし8月は日本にお盆休みがあるように、金融市場は参加者が少なくなり、夏枯れ相場として各市場とも方向感の出ない取引が続くことも珍しくない点は注意が必要です。

8月の夏枯れ相場で金も方向感のない取引が続くか、米雇用統計の悪化を契機に上昇に向けた動きを見せるか、8月の金価格の行方が注目されます。