本日1グラム辺りの金（貴金属）相場価格

2024年11月の金相場の見通し

10月の金価格は大きく上昇して、年初来高値を更新しました。ただしドル建てで見ると、株高とともに金価格も上昇するなど、イレギュラーな状況が生じています。また11月は5日に米大統領選挙が行われます。金融市場の行方は、米大統領選挙の結果が大きく影響すると見られます。10月の金価格の上昇が、米大統領選挙を経ても続くか注目されます。

年初来高値を更新し大幅高となった10月の金価格

10月の国内金標準先物（限月つなぎ）は、大幅高となり年初来高値を更新しました。高値圏での推移が続いた金価格でしたが、10月は一気に上昇しています。これまで12,000円台を中心に上下する状態が続いたものの、10月高値は13,819円となり、14,000円に迫る水準まで上昇しました。

ドル建ての金価格は7月からの上昇が継続

ドル建ての金価格は9月までに年初来高値を更新しています。7月に年初来高値を更新した後、10月まで4ヵ月続けて月足は陽線を形成し、高値更新が継続中です。ドル建て金価格（先物、中心限月）は10月に一時2,800ドル目前まで上昇しました。

2024年初は2,000ドル付近でスタートしたため、2024年は約4割の価格上昇を果たしています。世界的に金価格の上昇が話題ですが、ドル建て金価格はそれを納得させる上昇を見せています。

米長期金利上昇や米株高の中で上昇する金価格

安全資産と認識されている金は、リスク資産の上昇期は売られる傾向にあります。米株価指数のS&P500指数は、10月に年初来高値を更新しました。その中でも金価格の上昇が続いています。

また金価格は米長期金利と逆相関となる傾向も知られています。しかし10月は米長期金利の上昇が進みました。10月最初に3.7%台で始まった米10年債金利は、10月終了時点で4.3%台まで上昇しています。9月にFRBは利下げに踏み切りましたが、10月の長期金利は上昇することになりました。

また10月はドルインデックスが上昇しており、ドル建て金価格はドルの上昇圧力がある中で上昇しています（ドル建ての金価格はドル安時に上昇しやすい）。10月の金価格の上昇は、周辺状況から見ると若干セオリーに反する値動きです。金融商品の値動きはセオリーから外れることが珍しくないものの、11月以降の金価格はセオリーに戻す値動きが生じる可能性があります。

11月5日に米大統領選挙、金融市場の行方は米大統領選挙の結果次第

日本の10月の衆院選に続き、11月5日は米大統領選挙が行われます。トランプ前大統領とハリス副大統領が近年まれに見る接戦を続けており、どちらが勝利するか予想できません。

11月以降の金融市場及び金価格の行方は米大統領選挙の結果次第と言えるでしょう。金融市場ではトランプ大統領誕生時はドル高・株高のリスクオン、との説も出ています。ただしトランプ前大統領は、現在の行き過ぎたドル高は国益にそぐわない、との発言を選挙期間中にしています。このため、トランプ大統領誕生＝ドル高・株高、との説を鵜呑みにすることはできません。ただしリスクオンが進むと、金価格には逆風となるため注意が必要です。

参考：米大統領選挙はトランプ前大統領が勝利、インフレ懸念から今後の金は上昇の可能性も

円建て金価格は10月の上昇が11月も続くか注目

ドル建て金価格は7月以降高値更新が続いていますが、円建ては10月にようやく本格的な上昇を見せました。10月の大幅高を契機に、一歩遅れてドル建てと同様の上昇継続が期待されます。

しかし、金価格の行方も米大統領選挙の結果次第の面があります。特にドル建てでは、株高とともに金価格の上昇も進むというイレギュラーな状況が続いており、また節目価格2,800ドルを前に反落する形で10月の取引を終えました。

11月の金価格は円建てでは上昇継続に期待が高まりますが、ドル建てでは一旦反落が生じても不思議ではありません。11月は米大統領選挙の結果とともに、金価格は上昇継続か下落に転じるかその行方が注目されます。