本日1グラム辺りの金（貴金属）相場価格

2025年6月の金相場の見通し

金はこれまで長く上昇が続いたものの、5月は上昇が一服しました。上昇を再開する可能性もありますが、このまま停滞が続く可能性もあります。5月の金市場を振り返るとともに、6月の金市場を見る上でのポイントを解説します。

5月の金相場を振り返る、小幅高ながら高値を更新

5月の金価格（国内金標準先物、限月つなぎ）は月足を見ると、上下にヒゲのある実体の短い陽線を形成。上下約1,000円の値幅で、一時的に14,000円台まで下落しましたが、15,000円台を回復して15,350円で取引を終えました。3ヵ月連続の陽線ですが、3月の大幅高の後、4月と5月は小幅高に留まっています。

4月はローソク足の実体部分は短いものの、上下2,000円近い値幅で大きな値動きを見せた金価格ですが、5月は値幅自体も狭くなり、これまでの金価格の上昇が一服する可能性が生じています。ただし、5月も年初来高値は更新しており、値動きは落ち着いたもののまだ上昇圧力は残されている状態です。

ドル建てでも月足は上下にヒゲのある陽線に

ドル建ての金（COMEX金先物、限月つなぎ）の月足は、上下にヒゲがある実体の短い陰線を形成しています。4ヵ月陽線が続いたものの、遂に反落しました。ドル建ては円建てと異なり高値の更新ができておらず、上昇が一旦ストップしました。ただし4月に節目価格3,500ドル到達後、5月は3,100ドル付近で支えられている状態です。

円建て同様にドル建ても5月の値動きは停滞しました。値動きの停滞は5月のみに留まるのか、6月も続くのか注目されます。

5月は株式市場が回復

トランプ関税ショックで金融市場が混乱した4月の後、5月は混乱が収束に向かいました。金市場は明確な方向性の出ない展開となりましたが、金融市場全体を見ると5月は特に株式市場の戻りが鮮明です。今後二番底に向かう可能性もありますが、トランプ関税ショックはリーマンショックなどとは異なり、一時的な影響に留まっています。

米ダウ平均を見ると、トランプ関税ショック時に36,000ドル台まで落ちましたが、5月は40,000ドルを回復し、最終的に42,000ドル台で取引を終えました。年初来高値の45,000ドル台には届いていませんが、トランプショック前の水準を回復しています。もう一段高となり高値更新を目指すか、反落して二番底を形成することになるか注目です。

ただし米株価指数の中でも中小型株特化型のラッセル指数は戻りが限定的です。トランプ関税ショック前の水準は回復したものの、年初来高値から下落した水準でトランプ関税ショックが生じており、ダウ平均やナスダック指数に比べると上昇力に欠ける状態です。

反発してトランプ関税ショック前の水準を一時的に上超えた米長期金利

ドルの動きに影響を与える米長期金利は、トランプ関税の発表後に急落し、10年債金利は一時4%を割れました。しかしその後は反発し、5月は4.1%台で取引を開始した後、一時4.6%に到達しています。一時的ながらトランプ関税ショック前の水準を上回りました。

5月の金価格は明確な方向が出ず、米長期金利上昇の影響も限定的となりました。5月にジリ高が進んだ米長期金利が、6月に金を始めとする各市場にどのような形で影響を与えるか注目されます。

5月の停滞後、6月の金は動きを見せるか？

円建てとドル建てのいずれも5月の金は値動きが停滞しました。これまで上昇を続けた金でしたが、一旦上昇が止まっています。金融市場全体として見ると、5月は株式市場に注目が集まり、金を始めとする商品市場や為替市場は値動きが少ない月となりました。

これまで上昇トレンドが長く続いた金は、金先物データなども上昇一服が示唆されており、今後すぐに上昇トレンドに戻らない可能性もあります。金の停滞は6月も続く可能性も否定できません。

6月の金市場は値動きを取り戻すことができるのか？、という点がまずは注目されます。また上昇再開の際は、円建ては16,000円に到達、ドル建てでは3,500ドルを回復、という節目価格に至るかに注目です。