2025年3月 ｜ 金相場の価格推移

2025年3月の金相場の見通し

2月の金価格は円建てでは下落の一方、ドル建ては上昇し方向感のない1ヵ月となりました。2月の金市場を振り返るとともに、3月の金市場を見る上でのポイントなどを取り上げます。米国とウクライナの関係次第では金融市場はリスク回避が進み、金価格が上昇する可能性もあります。

高値更新も若干下落した2月の金価格

1月も上昇でスタートした2025年の金価格ですが、2月は高値を更新したものの若干下落しました。金先物（国内金標準先物、限月つなぎ）の月足を見ると、2月は上ヒゲが長く実体の短い陰線を形成し、昨年11月以来の陰線となりました。

価格的には14,000円目前の水準13,975円から取引が始まり、2月半ばには14,500円台に到達。しかし14,500円到達を契機に下落が進み、13,905円で取引を終えました。月足は陰線で始値をわずかに下回ったものの、13,900円台を維持しています。

ほぼ往って来いの状態となった2月の金価格ですが、高値は更新しており、上昇圧力は依然として残されています。ただし、上ヒゲのあるローソク足は天井となるパターンもあるため注意が必要です。

ドル建て金価格は上昇続く

2月の円建ての金価格はわずかに下落しましたが、ドル建て金価格は若干上昇しており、2ヵ月続伸となりました。2,846ドル（COMEX金先物、限月つなぎ）で2月の取引をスタートしたドル建て金価格は、24日に2,974ドルまで上昇。しかし節目価格3,000ドルには届かず反落し、最終的に2,867ドルで取引を終えました。

2月はドルインデックスの下落が進んでおり、ドル建て金価格はドルの下落に後押しされて上昇する形となっています。金価格は円建ての小幅安とドル建ての小幅高という状態であり、2月は金自体に明確な方向感が出ない月となりました。

2月は米長期金利の下落が進む

金価格に影響を与える周辺市場の状況を見てみましょう。米株式市場は若干下落が進んだものの、大幅安までは至らず、2月は停滞の1ヵ月となりました。四半期に1度注目されるNvidiaの決算は無事に通過したものの、株式市場の買い材料とはなりませんでした。

周辺市場で注目されるのは米長期金利です。10年債金利で見ると、1月半ばに4.8%台まで上昇した後は下落が継続。2月上旬に一時上昇して4.6%台を回復したものの、再度下落に転じ4.2%台で2月の取引を終えました。なお、10年債はまだ12月の水準を下回っていませんが、2年債や5年債は12月水準を下回っています。

金価格と米長期金利は逆相関の値動きを見せることが多いです。しかし、2月はドルベースでは確かに若干逆相関の動きとなりましたが、長期金利の下落に比べると金価格の上昇は限定的です。2月の米長期金利の下落が3月の金価格に影響を与えるか、それとも米長期金利と金価格が逆相関しない状態が3月も続くのか注目されます。

3月はリスク回避で金価格上昇の可能性も

2月28日は日経平均が1,000円以上の下落を見せました。また2月はウクライナ戦争終結の期待感からユーロが買われる動きが見られました。しかし、2月28日にアメリカで行われた米トランプ大統領と宇ゼレンスキー大統領の交渉が決裂するなど、3月はリスク回避が進む可能性も生じています。ただし2月28日の米株式市場は米宇首脳会談が決裂しても大幅高で終えており、3月も2月同様に金融市場に明確な方向性が表れない可能性もあります。

金融市場がリスク回避に進むと金価格は上昇しやすくなります。金価格は円建てでは2月に若干下落しましたが、3月の金価格はリスク回避とともに節目価格15,000円を目指して上昇が進むか注目されます。