2025年5月 ｜ 金相場の価格推移

2025年5月の金相場の見通し

4月の金価格は、トランプ関税ショックの影響でリスク回避を背景に上昇しました。しかし株式市場が戻しを見せており、5月の金価格は巻き戻しの可能性もあります。これまでの上昇一辺倒から、金の値動きに変化が生じるか注目されます。

4月の金相場を振り返る

4月の金価格（国内金標準先物、限月つなぎ）は3月に比べ若干上昇して取引を終了。3月に1,000円以上の上昇を見せた後、4月も上昇が続きましたが上昇幅は約200円に留まりました。

しかし月足のローソク足は上下にヒゲのある陽線を形成。15,811円まで上昇の反面、13,985円まで下落しており、上下に大きく振れた1ヵ月となりました。金価格は4月前半に下落が進んだものの、トランプ関税発表後の株式市場の混乱とともに、リスク回避が進み上昇に転じました。22日に高値15,811円まで上昇し年初来高値を更新した後に反落し、15,265円で取引を終了。なお、日足で見ると高値と安値の切り上げが続く上昇が続いています。

ドルベースでも月足は上下にヒゲのある陽線に

円ベースと同様に、ドルベースでも金の月足は上下にヒゲのある陽線を形成しました。ドルベースの月足では1月から4ヵ月連続で陽線が続いており、2025年はまだ一度も陰線がありません。また4月は節目価格3,500ドル（COMEX金先物、限月つなぎ）にも到達しています。

トランプ関税ショックでドルの下落が加速した4月

4月の金融市場は、4月3日に発表されたトランプ関税に大きく影響されました。最終的に中国を除き90日間の延期が決まりましたが、金融市場は混乱に陥りました。各国の株式市場は急落し、日経平均は一時的に30,000円台まで下落しています。ただし株式市場はその後に戻しを見せて、日経平均の4月30日終値は36,045円となり、4月の値動きはほぼ往って来いとなりました。

トランプ関税ショックではドルが大きく下落しました。ドルの他通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスは、4月に大きく下落しています。株式市場は4月の急落後に反発しましたが、ドルインデックスはそれほど反発せずに4月を終了。なお、ドルインデックスは2月から3ヵ月連続で下落しており、4月はトランプ関税がドルの下落をダメ押しする形となりました。

トランプ関税ショック以降、リスク回避で金が買われましたが、2月から売られていたドル売りも加速した状態です。ただしリスク回避の収束とともに金価格は反落したものの、ドルインデックスは大きな反発は見せず、金とドルの逆相関は4月後半に外れた形となりました。

ただし2025年に入り、全体としてはドルの下落に対し金価格の上昇が続いており、中期的にはドルが上昇すれば金は下落する可能性が否定できません。4月後半には一旦ドル安は止まっており、5月からのドルの方向性は今後の金価格の行方を占う上でも注目されます。

5月は金の上昇が一服する可能性も

円建てとドル建ての両者で4月の月足は陽線となり、これまでの堅調な金価格の上昇が続きました。しかし月足のローソク足は円とドルのいずれも上下に長いヒゲがあるため、上昇一辺倒ではなかったことが分かります。

金先物価格のデータも4月に入り取組高や大口の買いが細り始めており、これまでの上昇一辺倒の見方には注意を要するタイミングを迎えています。また4月の金価格上昇を招いた株式市場の急落は、その後戻しを見せています。金価格も高値到達後に反落していますが、株式市場の戻りに比べるとまだ限定的です。このため、5月の金価格は反落が進む可能性もあります。

トランプ関税ショックにより、金融市場は大きな変化を見せました。再度トランプ関税ショックのような出来事が生じリスク回避の金買いが進むのか、それとも大きな動きはなくこれまでの値動きが巻き戻され金価格は下落するのか、5月の金価格の行方が注目されます。