最終更新日:2026年10月8日
11月3日に米中間選挙が行われます。米中間選挙は金投資家にとっても見過ごすことのできないイベントです。米中間選挙について解説するとともに、米中間選挙が金価格に与える影響について解説します。
目次
2026年11月3日、米国で中間選挙が行われます。中間選挙とは、大統領の任期(4年)の中間にあたる2年目に行われる議会選挙で、下院の全435議席と上院100議席のうち35議席が改選されます。現職大統領への中間評価という性格を持ちます。
今回の中間選挙は、第2次トランプ政権に対する物価高政策や外交政策への評価が問われる選挙です。世論調査では、与党・共和党の苦戦が伝えられています。ただし、選挙は蓋を開けてみないと結果は分からない点は注意が必要です。
中間選挙と金価格は、一見すると無関係に見えます。しかし歴史的に見ると、中間選挙の年は株式のリターンが低下し、値動きが不安定になりやすいアノマリーがあります。そして、株安局面では安全資産としての金に資金が流れやすい傾向にあります。また選挙結果は、財政政策・金利・ドルという3つの経路を通じて金価格に影響を与える可能性があるため、米中間選挙は金投資家にとっても目が離せないイベントです。
米中間選挙の結果が金価格に影響を与える経路は、主に以下の3つです。
①財政政策の変化
共和党が議会の多数派を維持すれば、トランプ政権が掲げる追加減税や財政政策を進めやすくなります。一方、民主党が上下院のいずれかで多数派となれば、トランプ政権は政策実現のハードルが高くならざるを得ません。財政政策は長期金利やドルにも影響を与えるため、間接的に金価格を動かす要因となります。
②長期金利の動向
金はインカムゲインが得られない資産であるため、金利の動きに敏感に反応します。財政政策が長期金利を押し上げる方向に働けば、一般的には金への下落圧力となります。ただし、金利上昇が財政悪化への懸念から生じる「悪い金利上昇」なら、実物資産として金が買われる動きが生じる場合もあります。既に米国の長期金利は過去に比べ高い水準にあり、選挙後の財政政策とともに、金利の方向性も金価格を動かす重要な材料です。
③ドルの方向性
世界的に見れば金は主にドル建てで取引されており、ドルの方向性も金価格に影響します。一般的にドル高は金価格の下落要因、ドル安は上昇要因になりやすい傾向があります。中間選挙の結果、財政政策や景気の見通しが変化すれば、金利を通じてドル相場が動く可能性もあります。一方、選挙後に政治的な不透明感が高まれば、安全資産としてドルと金が同時に買われる展開も考えられます。
この3つの経路が絡み合うため、中間選挙の結果が金価格に与える影響は一方向では語りにくい点は注意が必要です。
米中間選挙の結果として想定される主なシナリオを2つに分け、それぞれの場合に金価格がどう動く可能性があるかを考察します。
シナリオ①:ねじれ議会(民主党が下院で多数派を奪還等)
現在の選挙情勢では、民主党が下院で多数派を獲得し、上院では共和党が多数派を維持する“ねじれ議会”が有力なシナリオの一つです。ねじれ議会となれば、トランプ政権が追加減税や追加財政出動などを進める際、議会の制約を受けやすくなります。財政拡張への警戒が後退すれば、国債増発への懸念が低下し、長期金利の上昇圧力が弱まる可能性があります。
金価格への影響としては、長期金利の低下は金の相対的な魅力が高まる要因です。また、ねじれ議会により政策の先行き不透明感が強まれば、安全資産として金が選ばれる場面も考えられます。
シナリオ②:共和党が多数派を維持(現状維持)
共和党が上下両院で多数派を維持した場合、トランプ政権は追加減税や財政政策を進めやすくなります。財政赤字の拡大や国債増発への警戒が強まれば、長期金利への上昇圧力となる可能性があります。また、FRBの金融引き締め姿勢と重なり、実質金利の上昇やドル高が進めば、金価格には下落圧力がかかります。
一方で、財政赤字や政府債務の拡大そのものが米国の財政に対する懸念を高めれば、金が資産の逃避先として選ばれる可能性も否定できません。
米中間選挙の投開票まで約1か月を切った今、金投資家として意識しておきたいポイントを整理します。
まず押さえておきたいのは、選挙前の金相場の状況です。足元の金価格は上昇後の調整局面にあり、また節目価格4,000ドルが意識された値動きを見せています。ドルや米国の金利動向、FRBの金融政策見通しなどが金価格を左右しており、中間選挙を巡る不透明感も足元の金価格に影響を与えています。
次に選挙後の動きへの備えです。過去の中間選挙では、選挙後にS&P500のリターンが高まる傾向が見られます。選挙後に政治的な不透明感が後退し、リスクオンが進めば、安全資産としての金が売られる可能性もあります。一方、金価格は金利やドル、地政学リスクなどにも左右されるため、株高だけで金価格の方向を判断するのは難しい面もあります。
米中間選挙については、選挙前後の短期的な値動きに注目する視点と、長期的な資産として金を捉える視点の両方を持つ姿勢が重要と言えるでしょう。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii

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