
最終更新日:2025年8月25日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では大口投資家などの先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)は大口投資家の売買に値動きが左右される傾向があり、売買データの分析で今後の方向性が把握できる場合があります。
こちらの記事では米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有高の推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前回(25.7.22掲載)
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
6/24 | 434,958 | 163,829 | 38,701 | 125,128 | 3,338.5 |
7/1 | 437,662 | 165,086 | 34,726 | 130,360 | 3,349.9 |
7/8 | 443,144 | 164,685 | 35,743 | 128,842 | 3,311.0 |
7/15 | 448,531 | 172,657 | 35,930 | 136,727 | 3,330.5 |
今回
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
7/22 | 489,423 | 194,753 | 34,819 | 159,934 | 3,507.1 |
7/29 | 445,259 | 170,918 | 36,662 | 134,256 | 3,383.0 |
8/5 | 449,647 | 186,304 | 32,317 | 153,987 | 3,435.0 |
8/19 | 446,152 | 186,304 | 34,050 | 148,287 | 3,358.9 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
総取組高(市場全体の取引残高)は7月22日に48万枚まで増加したものの、6月後半から8月半ばまでは概ね43~44万枚で推移しています。ただし大口買いは7月前半まで16万枚での推移の後、7月半ば以降は徐々に増加しており、8月に入ると18万枚に到達しました。大口売りは3万枚の水準が維持されており、その結果「差し引き」は7月半ばまでの12~13万枚から、14~15万枚と若干増加しています。
大口買いの増加を背景に価格も7月半ばまでは3,300ドル台で推移していたものが、3,400~3,500ドル台にタッチするようになりました。ただしチャートを見ると5月以降の高値圏の推移が続く状態です。5月からレンジ相場が続いており、レンジ内を若干上昇した水準に留まっています。
大口の買いが増加しているため、今後レンジの上限を突破する値動きが生じるか注目されます。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前回(25.7.22掲載)
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
6/24 | 955.68 | 306.85 |
7/1 | 948.23 | 306.89 |
7/8 | 946.51 | 305.27 |
7/15 | 947.63 | 306.95 |
今回
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
7/22 | 954.79 | 313.69 |
7/29 | 956.23 | 306.30 |
8/5 | 955.94 | 309.28 |
8/19 | 962.21 | 307.40 |
金保有高は、7月半ばまで940トン台で推移していましたが、7月後半以降は950トン台に増え、8月19日には960トン台まで増加しました(ただし8月20日以降、再び950トン台に戻りました)。保有高は若干増加していますが、大幅な増減は見られません。
価格についても、7月半ばまでの305~306ドル台が7月後半は一時310ドル台に到達するなど若干の上昇を見せていますが、大幅高という程ではありません。
保有高の緩やかな増加とともに、価格も緩やかに上昇したと言える状態です。大きな変化のない状態がいつまで続くかに注目されます。
ドル建ての金価格は4月に年初来高値を更新した後、5月から高値圏で横ばいの状態が継続中です。7月と8月は日米の株式市場が高値を更新しており、金融市場の注目は株式に集まっています。リスクオンを背景に、金価格は停滞を余儀なくされています。
CFTCデータとETFデータからは今後の大幅下落と大幅上昇、いずれも示唆されていませんが、大口買いの増加やETFの保有高の増加など、着実な上昇の可能性は示唆されています。
高値圏での停滞が続く金ですが、次の値動きが生じるタイミングが注目されます。
金価格が高騰している現在、金の売却を検討しているなら分かりやすい価格設定とスピーディな手続き、買取手数料0円の買取本舗七福神にご相談ください。
金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
【2025年】金価格は今後どうなる?節目価格15,000円到達なるか?相場推移と価格変動の要因も
更新日:2025年1月9日
金価格は2024年まで6年連続して上昇しました。2025年も上昇が...詳しくはこちら
【2025年】金価格は今後どうなる?節目価格15,000円到達なるか?相場推移と価格変動の要因も
更新日:2025年1月9日
金価格は2024年まで6年連続して上昇しました。2025年も上昇が...詳しくはこちら