最終更新日:2023年04月05日
プラチナを持っている人の中には、いつ売却すべきかタイミングを見計らっている人もいるでしょう。プラチナの価格は上下するため、売却するときはタイミングが重要です。
実際に売却を考えている場合は、価格の相場推移を把握することが効果的です。これまでの価格推移を見返して、プラチナ価格がどのような変動をするのか予想しましょう。
今回は、過去5年間のプラチナ価格の相場推移や、最近の上昇傾向の理由などを解説します。今後のプラチナ価格予想も解説するため、プラチナの売却を考えている人は参考にしてください。
目次
「プラチナ取引をしたい」「プラチナ投資をしたい」という人は、市場の値動きを予想して売買することが重要です。以下では、短期的および長期的な値動きの予想について解説します。
プラチナ価格は短期的には高値が継続する見通しです。先行きに不透明感はあるものの、2023年は価格上昇の起点となる可能性も含んでいます。高値が続くと見込まれる背景には、プラチナ需要の高まりがあります。
コロナ禍が収束に向かって世界経済が回復傾向となり、自動車の生産台数が増加に転じた点は、プラチナ需要が高まっている理由の1つです。プラチナは、自動車の排気ガスを清浄化する触媒として広く利用されているためです。
プラチナ需要の高まりは従来の自動車分野にとどまりません。脱炭素社会を実現するための燃料電池自動車分野においても、プラチナは強く必要とされています。燃料電池自動車に使うグリーン水素の精製や発電装置などに、プラチナを活用した技術が用いられています。
プラチナ価格は長期的には下降するリスクを含んでいます。世界的に脱炭素社会推進の潮流はあるものの、燃料電池自動車の普及が実現できるかどうかは現段階では明確な見通しが立っていません。普及しなければ、プラチナ価格に悪影響を及ぼしかねません。
また、プラチナは希少性が高く、高価な貴金属です。近年は、プラチナの代替物質を燃料電池の素材とするための研究開発が行われており、将来的に代替物質が台頭する見込みもあります。また、プラチナのリサイクル市場が活況になると、価格は下降する恐れがあるでしょう。
産業分野におけるプラチナ需要の低下に比例し、価格が下降する可能性も否めません。しかし、脱炭素社会が一層進んだ場合は産業分野におけるプラチナ需要が高まり、価格は上昇する可能性を秘めています。
プラチナ価格は、世界経済や世界情勢といったいくつもの要因を受けて上下に変動して推移しています。
以下は、2018年から2022年まで5年間におけるプラチナ価格の相場推移を、複数サイトを参考にまとめた表です。価格はおおよその数値である点に留意してください。
プラチナ価格の相場 | |
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2018年 | 約3,210~3,350円/グラム |
2019年 | 約3,120~3,260円/グラム |
2020年 | 約3,110~3,300円/グラム |
2021年 | 約3,930~4,190円/グラム |
2022年 | 約4,130~4,380円/グラム |
プラチナ価格の相場は、2018年から2019年にかけて下限価格と上限価格ともにわずかながら下落しています。価格差は約100円/グラムです。また、2019年と2020年を比較すると、下限は約10円/グラム下落したものの、上限では約40円/グラム上昇しています。
2021年になると、下限と上限の価格いずれも2020年から大幅に上昇しています。約800円/グラム以上の伸びです。続く2022年も上昇傾向にあり、価格差は約200円/グラムとなっています。
以上の点から、2022年まで過去5年間のプラチナ価格は多少下落した時期はあったものの、全体的には上昇傾向にあることが分かります。
2015年以降プラチナと金の価格が逆転し、プラチナ価格が金相場に比べて低く推移している理由は、両者の代表的な用途の違いにあります。プラチナは工業需要の多い貴金属であり、工業利用の場合は世界の動向や経済状況の影響を受けやすくなります。プラチナを使用した工業製品が売れなければ、プラチナの需要も減少するためです。
一方、金の代表的な用途はアクセサリーであるため、景気の動向を受けにくく安定した値動きをする傾向にあります。プラチナが世界的な不況や自動車の販売不振などの影響を受けて価格が下落する一方、金は安定的な値動きを続けました。結果として、プラチナは希少価値が高いにもかかわらず、金に比べて安値で推移しています。
プラチナ価格の代表的な変動要因として着目すべきポイントは、下記の6つです。
ガソリン車・ディーゼル車には、排気ガス浄化触媒としてプラチナが使われます。また、燃料電池自動車に使われる燃料電池にもプラチナが必要です。そのため、自動車の販売数の増加や普及はプラチナ価格の上昇要因となります。
リサイクルによる二次供給とは、廃棄された製品から、プラチナを取り出して再利用することです。二次供給が増えれば市場に出回るプラチナの量が増え、価格の下降要因となります。
高いインフレが続く米国では、中央銀行に当たるFRBが金融緩和から金利引き上げへと政策転換しています。金利引き上げの政策が長期化すると、プラチナ価格は上昇しにくくなるでしょう。
主な産出国である南アフリカの鉱山生産量も重要なポイントです。経済状況が変化してプラチナ採掘工場が稼働を停止すれば、価格の上昇要因となります。また、現地工場で起きたトラブルなど生産量減につながる出来事も、プラチナ価格が上昇する要因です。
プラチナやパラジウムの産出国であるロシアが関わるウクライナ情勢も価格を変動させる要因です。早期解決に向かわない場合、供給量が減少し、価格にも影響を及ぼすリスクを含んでいます。
宝飾品向け需要の増減は、最大消費国である中国の動向に着目しましょう。金トレンドの高まりや、中国経済の不況で宝飾品の需要が減少したことによるプラチナ需要の落ち込みは、価格下降の要因となります。
プラチナ価格は2020年と比べると、回復・上昇傾向です。ただし、2022年から2023年にかけては4,000円台で値動きしており、2023年3月時点ではやや横這いの状態が続いています。
プラチナ供給量の増減はプラチナ価格を左右する要因の1つであり、プラチナの産出国が安定した情勢を保っていることが重要となります。このため、南アフリカにおける気候変動がもたらす産出量への影響やウクライナ情勢などは引き続き懸念される点です。
一方で、景気回復に伴って自動車業界などではプラチナ需要が伸びることは予想されるため、プラチナ価格は大きく下落しない見込みです。場合によっては、再び上昇することも予想されます。
プラチナ価格の相場予測をするには、価格に影響を及ぼす要因を知ったり、価格の推移を見守ったりする必要があります。加えて、過去に起きた価格高騰や急落について学ぶと、相場予測に役立つでしょう。
ここでは、プラチナ価格が大きく変動した2つの出来事を取り上げ、それぞれの時期やその背景について紹介します。
リーマンショックは2008年9月に始まった世界金融危機です。米国の投資銀行であるリーマンブラザーズの経営破綻に発し、世界的に株価が下落して金融不安が起きました。日本も例外ではありません。
プラチナ価格はリーマンショック直前には当時の史上最高値をつけていたものの、金融不安による自動車の製造・販売の落ち込みを受け、価格は暴落しました。相場が高騰した金価格とは対照的な結果です。
金は採掘量や流通量、埋蔵量が多く、宝飾品や投資対象としての需要が大半を占めています。対して、プラチナは採掘量・流通量・総量などが少ない貴金属です。自動車製造などの工業用需要が多く、市場経済の影響をより受けやすい点は特徴的です。
2020年に入って起きた新型コロナの拡大もプラチナ価格を下落させました。プラチナ価格が下落した主な原因は2つです。
1つ目の原因は、自動車需要と生産の落ち込みです。コロナ禍によって自動車の需要は減少し、生産量が大幅に落ち込みました。自動車の排気ガスを清浄化する触媒に使用されるプラチナに対する需要も減少し、プラチナ価格の下落につながっています。
2つ目の原因は、プラチナの産出国である南アフリカで起きた自国通貨「ランド」の下落です。南アフリカでは新型コロナが拡大したことで、投資家による国内からの資金流出が起きてランドが下落しました。
自国通貨が下落した結果、プラチナを輸出する際の採算性が良くなるため、プラチナを増産するという観測が高まって価格を押し下げました。
2020年末~2021年前半にプラチナ価格が高騰した理由として、次の3点が挙げられます。
◯金融緩和や経済回復
新型コロナウイルス感染症の影響で2020年春に各国でロックダウンが実施されると、世界経済は大きな打撃を受け、プラチナ価格も低迷しました。その後、経済の立て直しを目的とした金融緩和策が実施され、ロックダウン解除に伴い経済活動が再開されます。
結果として、排気ガス浄化触媒にプラチナを使用する自動車の生産台数も回復し、プラチナ価格の高騰につながりました。
◯脱炭素推進
中国が脱炭素に前向きな姿勢を表明したことや、アメリカのバイデン政権がパリ協定に復帰したことに伴い、世界的に脱炭素推進の動きとなっています。また、水素社会の実現に向けて注目が集まる燃料電池車に使用されている燃料電池には、プラチナが欠かせません。
このような背景もあり、投資家の間でプラチナ需要の期待が高まったことも、プラチナ価格高騰の要因となりました。
◯パラジウムの代替としての需要増加
ガソリン車の排気ガス浄化触媒は、プラチナよりも安価だったパラジウムが主流であったものの、近年はパラジウムの価格が高騰しています。そのため、自動車メーカーがコストをカットするために、プラチナを代替品として利用している状況です。プラチナの触媒需要が増え、プラチナ価格高騰を後押ししています。
以上のように、プラチナ価格の高騰にはプラチナを使用する工業製品の売れ行きや需要が大きく関わっています。
プラチナの売り時・買い時に関する確実な情報は存在しません。プラチナ価格が変動する要因を把握し、市場の動向を注視しながら見極めることが重要です。プラチナ価格に影響を及ぼす為替ルートを見据えて行動する必要もあります。
2022年以降、円安の傾向が続いています。円安の時期はプラチナの売り時です。プラチナ価格は米ドルから日本円に換算して決まるため、円安になるほど日本では値上がりします。
タイミングを逃すと、円高に転じたり他の要因で下落したりする恐れもあるため、プラチナを売りたいと考えている場合は早めに行動に移すことがおすすめです。
プラチナ価格は上昇傾向にあり、短期的には高値での値動きが続く見通しであるものの、長期にわたって高値が続くとは言い切れない状況です。プラチナは工業用貴金属でもあるため、価格は工業や世界経済の状況が変動要因となります。特に、自動車市場の動向は重要なポイントです。
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