最終更新日:2021年05月10日
外国語の中には、日本語で記載する際に読み方が難しい言葉があります。そのひとつが、「Diamond」です。「Diamond」は、「ダイヤモンド」と「ダイアモンド」のどちらの表記が日本語として正しいのか、気になっている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、ダイヤモンドとダイアモンドの表記はどちらが正しいのかを、根拠となる情報とともに解説します。起源・歴史や価値に関する基礎知識も紹介するため、最後まで読めばダイヤモンドに対する理解が深まるでしょう。
「Diamond」の表記・読み方は、「ダイヤモンド」が一般的です。新聞やテレビなどのメディアでは、「ダイヤモンド」で統一されています。そのため、「ダイヤモンド」の表記を日常的に見かけることは多いでしょう。
また、ダイヤモンド・ダイアモンドは「Diamond」の発音を日本語表記にしたものであるため、「Diamond」を「ダイアモンド」と読んでも間違いではありません。あくまで、「一般的に使われている表記がダイヤモンドである」と覚えておきましょう。
では、宝石を専門に扱うジュエリー業界の表記は、どのようになっているのでしょうか。日本ジュエリー協会では、「ダイヤモンド」で統一して表記しています。
また、世界的ジュエリーブランドである、ハリー・ウィンストンやヴァンクリーフ&アーペル、カルティエのホームページでも「ダイヤモンド」の表記です。ジュエリー業界においても「ダイヤモンド」の表記が主流となっていると言えるでしょう。
文化庁が外来語の表記について解説している文章の中では、ダイヤモンド・ダイアモンドについても触れています。文化庁では、外来語の表記に関して以下のように定めています。
イ列・エ列の音の次のアの音に当たるものは,原則として「ア」と書く。
この考え方に倣うと、「ダイアモンド」の表記です。ただし、この説明には、「「ヤ」と書く慣用のある場合は、それによる。」と補足されており、例として「ダイヤモンド」が挙げられています。そのため、文化庁も「ダイヤモンド」の表記が一般的とする見解です。
ダイヤモンドの語源は、ギリシャ語で「征服できない」「何よりも強い」といった意味を持つ「Adamas」です。その名前に表れているとおり、ダイヤモンドは自然界でもっとも硬く、和名では金剛石と言われています。
ダイヤモンドの起源は、紀元前4世紀頃までさかのぼります。初めはインドで見つけられたと言われており、硬いことだけが特徴の普通の石でした。しかし、15世紀後頃にダイヤモンドのカット法が発見されると、宝石としての価値が一気に高まります。今や、ダイヤモンドは宝石の最高位であり、世界中で高い人気を誇っています。
ダイヤモンドの価値が高い理由は、主に以下のとおりです。
・供給量が少ない
商品として市場に出回っているダイヤモンドは、採掘されたうちの1割程度です。ダイヤモンドは地下150キロほどの場所で生成されるため、採掘できるものは地表近くまで上がってきた原石に限られます。合成ダイヤも発明されているものの、天然ダイヤは供給量が少なく、希少性が高い宝石です。
・加工に大きなコストがかかる
ダイヤモンドのカットには、ブリリアントカットと言われる特殊な研磨方法を用います。ダイヤモンドの粉を使うブリリアントカットは、大きな手間とコストがかかるため、ダイヤモンドの価値を高める理由のひとつです。
・生産調整されている
南アフリカのデビアス社による生産調整も、ダイヤモンドの価値に影響しています。かつて、1980年代後半から1990年代にかけて、ダイヤモンドが大量に生産された時期がありました。大量生産による価値の低下を避けるため、デビアス社はダイヤモンドを買い占めて市場に供給し直すなどの取引調整を行い、現在まで高い価値を維持しています。
ダイヤモンドは、「4C」によって品質と価値が決められます。4Cは、4つの評価基準におけるアルファベットの頭文字を取って名付けられた名称です。商品としての価格を決める重要な要素でもあり、ダイヤモンドを知るうえで欠かせない知識と言えます。
ここからは、4Cの内容を詳しく解説します。
Carat(カラット)とは、重量のことです。重たいほど大きさも伴うため、ダイヤモンドとしての価値が高くなります。4Cの中でも特に重要な評価基準であり、婚約指輪や結婚指輪など、ダイヤモンドのアクセサリーを購入する際に注目されやすい要素です。カラットは、宝石全般の重さを示す単位に使用されており、1カラットは0.2グラムに相当します。
カラットごとの重さや大きさは、以下のとおりです。
カラット | 0.1 | 0.3 | 0.5 |
---|---|---|---|
重量 | 0.02グラム | 0.06グラム | 0.1グラム |
直径 | 3.0ミリ | 4.3ミリ | 5.2ミリ |
カラット | 1.0 | 2.0 | 5.0 |
重量 | 0.2グラム | 0.4グラム | 1.0グラム |
直径 | 6.5ミリ | 8.2ミリ | 11.0ミリ |
なお、カラット数が大きいダイヤモンド=美しいダイヤモンドとは限りません。ほかの評価基準とのバランスによって、ダイヤモンドの総合的な魅力が決まります。
Clarity(クラリティ)とは、ダイヤモンドの透明度のことです。ダイヤモンドの透明度は、インクルージョン(内部にある不純物)やブレミッシュ(キズ)の数・大きさ・位置によって決まります。
世界でも有名な宝石学研究・教育機関のGIAでは、クラリティを11のグレードに分類しています。
【クラリティのグレード】
FL IF VVS1 VVS2 VS1 VS2 SI1 SI2 I1 I2 I3
※左側からグレードが高い順
もっともグレードが高いFL(インターナリー・フローレス)は、10倍に拡大してもインクルージョンやブレミッシュが見られない状態のダイヤモンドです。一方で、I1~I3は、インクルージョンやブレミッシュが肉眼で容易に発見できる場合に該当します。
Cut(カット)は、ダイヤモンドの輝きに影響する要素です。ダイヤモンドは原石のままでは輝かず、職人のカットによって輝きを放ちます。ダイヤモンドが輝くために必要な要素は、カット面の角度や全体の形状など、さまざまです。
たとえば、カラット数を保つためにダイヤモンドの研磨量を減らせば、カット面が少ないことで光が反射せず、輝きが放たれない仕上がりとなります。職人の技術によって、ダイヤモンドが持つ美しさを最大限に引き出せるかが決まります。
ダイヤモンドのカットは、以下の5つのグレードで分けられています。
【カットのグレード】
Excellent VeryGood Good Fair Poor
※左側からグレードが高い順
Color(カラー)は、ダイヤモンドの色についての基準です。無色透明に近いほど、カラーのグレードが高いとされています。
カラーでは、もっとも無色透明に近い最高グレードを「D」とし、アルファベット順にグレードが設定されています。カラーのグレードは23種類に分類されており、もっとも色合いが濃く低いグレードが、アルファベットの最後である「Z」です。
カラーのグレードが少し異なるだけでは、人の目では違いがほとんど分かりません。しかし、その微妙な違いがダイヤモンドの輝きに大きな影響を及ぼしています。
ダイヤモンド・ダイアモンドの表記は、「ダイヤモンド」が一般的です。多くのメディアやジュエリー業界、文化庁でも「ダイヤモンド」と表記しています。ただし、「ダイアモンド」という読み方も間違いではないため、あくまで世の中の慣習的に「ダイヤモンド」が使われていると理解しましょう。
ダイヤモンドは、供給量の少なさや加工コストの高さが影響し、宝石の中でもトップクラスの価値を誇ります。ダイヤモンドの品質と価値を決める基準が「4C」です。4Cとは、カラット(重量)・クラリティ(透明度)・カット(輝き)・カラー(色)の4つを指します。それぞれのグレードが高いと、ダイヤモンドとしての価値が上がります。