
最終更新日:2025年4月28日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)価格は大口投資家の売買に影響される傾向がありますが、売買データの分析で大口投資家の動向把握が可能です。こちらの記事では2025年4月28日時点での米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」の金の保有高推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前回(25.3.24掲載)
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
2/25 | 512,179 | 212,694 | 32,882 | 179,812 | 2,928.6 |
3/4 | 489,270 | 204,965 | 38,307 | 166,658 | 2,922.8 |
3/11 | 511,276 | 204,907 | 37,331 | 167,576 | 2,922.8 |
3/18 | 533,566 | 220,879 | 37,045 | 183,834 | 3,041.7 |
今回
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
3/25 | 511,482 | 213,505 | 38,773 | 174,732 | 3,056.3 |
4/1 | 498,746 | 204,833 | 62,834 | 141,999 | 3,148.5 |
4/8 | 444,746 | 175,393 | 44,407 | 130,986 | 2,998.3 |
4/15 | 465,351 | 166,360 | 46,546 | 121,854 | 3,392.0 |
4/22 | 465,351 | 166,360 | 45,458 | 120,902 | 3,392.0 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
総取組高(市場全体の取引残高)は3月18日の533,586枚をピークに減少が続き、4月に入ると50万枚を割れました。4月半ば以降は45万枚を前後する状態で、3月に比べると市場参加者が減少しています。
また大口の買いも3月18日の220,879枚をピークに減少が継続。大口の売りは4月1日に一時的に6万枚まで増えましたが、4万枚台で推移する状態です。
差し引きは3月18日の+183,834枚が4月22日は+120,902枚まで減少しました。依然として買い優位の状態ですが、買いの圧力は後退しています。
総取組高と「大口の買い」から「大口の売り」を引いた差し引きの数字も減少の中で、価格は3月半ばの3,000$台から、4月22日には3,392.0$まで上昇しました。大口の買いや市場の参加者が減少する中での価格上昇であり、4月の金価格上昇は値動きの軽い上昇の可能性があります。上昇したものの、往って来いが生じるなど、早期に戻しを見せるシナリオも想定される状態です。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前回(25.3.24掲載)
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
2/25 | 907.82 | 271.64 |
3/4 | 901.79 | 265.25 |
3/11 | 895.19 | 265.85 |
3/18 | 907.27 | 274.17 |
今回
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
3/25 | 929.35 | 278.70 |
4/1 | 931.36 | 289.18 |
4/81 | 925.91 | 281.13 |
4/15 | 953.15 | 298.11 |
4/22 | 947.70 | 314.47 |
金保有高は3月に900トンを超えた後も、着実に増加しており4月15日には950トンを突破しました。ただし4月22日には947トンと950トンをわずかに割れています。
保有高の増加とともに価格も上昇しており、2月後半から3月は260~270ドル台で推移の後、4月22日には310ドル台に到達しています。
保有トン数の増加と価格の上昇がリンクしており、ETFデータからは王道的な価格上昇が続いていると見ることができます。22日以降の保有高の推移が注目されます(なお、25日までは同水準での推移)。
2025年の金価格は着実な上昇を見せる中で、4月は前半に下落したものの半ば以降に大きく上昇し、4月も高値を更新しています。
ただし先物のデータを見ると、価格上昇を支える市場参加者及び大口投資家の購入が減少しています。足腰の強い投資家の参加が減少して値動きが軽くなった、とも考えられ、逆に一旦下落が始まると短期間で下落が進む懸念もあります。
ETFデータは保有高と価格の順調な上昇が続いていますが、先物のデータは先月までと比べ、変化が生じています。これまでの上昇一辺倒の見方を、若干保守的に変更するタイミングを迎えている可能性もあります。
ETFデータも今後変化が生じるのか、先物データの変調は一時的で再度市場参加者も増えるデータに戻るのか、今後のCFTC建玉明細と金ETFの金保有高の行方が注目されます。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
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