
最終更新日:2025年6月24日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)価格は大口投資家の売買に影響される傾向がありますが、売買データの分析で大口投資家の動向把握が可能です。こちらの記事では2025年6月24日時点での米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」の金の保有高推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前回(25.5.26掲載)
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
4/29 | 451,868 | 150,715 | 44,820 | 105,895 | 3,327.6 |
5/6 | 452,414 | 144,383 | 42,292 | 102,091 | 3,441.8 |
5/13 | 440,842 | 144,410 | 43,183 | 101,227 | 3,254.5 |
5/20 | 448,000 | 149,149 | 41,520 | 107,629 | 3,292.6 |
今回
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
5/27 | 437,538 | 147,508 | 38,686 | 108,816 | 3,327.7 |
6/3 | 415,941 | 159,966 | 36,384 | 123,582 | 3,376.9 |
6/10 | 417,143 | 160,680 | 36,589 | 124,091 | 3,344.8 |
6/17 | 441,214 | 167,646 | 37,135 | 130,511 | 3,406.5 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
総取組高(市場全体の取引残高)は4月末から5月前半は45万枚ありましたが、徐々に減少が進み、6月10日には41万枚に。ただし6月17日には44万枚まで回復しています。また、大口買いが5月は14万枚で推移したものの、6月に入ると増加し、6月17日には16万枚となりました。大口売りも若干減少しましたが、4月後半から10万枚で推移した「差し引き」は、6月17日には13万枚まで増えています。
総取組高が減少する中で大口買いが増えており、市場での買い圧力が増しています。その結果、価格はジリ高が進展。大幅高には至っていませんが、6月16日は年初来高値近くまで上昇しました。まだ本格上昇には至りませんが、大口買いや6月17日に回復した総取組高の状況からは一段高が生じる可能性があります。
金価格は4月に年初来高値を付けた後、値動き的にもCOTデータ的にも方向感の出ない状態が続いていました。しかし6月に入り、再上昇に向けた変化が生じつつある状況です。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前回(25.5.26掲載)
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
4/29 | 946.26 | 307.31 |
5/7 | 937.66 | 311.08 |
5/13 | 936.50 | 301.36 |
5/20 | 921.87 | 297.14 |
今回
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
5/27 | 922.45 | 302.89 |
6/3 | 935.64 | 307.81 |
6/10 | 935.90 | 305.37 |
6/17 | 945.93 | 311.19 |
金保有高は5月20日の921.87トンから徐々に増加しており、6月17日には4月29日と同水準まで回復しました。
5月20日の930トン割れ時に価格も300ドルを割れましたが、その後は保有高の回復とともに金価格も上昇。6月17日には310ドル台に到達しています。 前回までのETFデータからは、金価格の上昇に向けた動きは見られませんでした。しかし、今回は保有高の増加と価格の上々が見られており、前回までとは違う流れが生じていると言えます。
ドル建ての金価格は4月に年初来高値を更新した後、高値圏で横ばいの推移がきました。その間はCFTCもETFも、その後の金の上昇を示唆するデータは見られませんでした。
しかし、今回はCFTC データでは大口買いの増加、ETFでは金保有高の増加が見られ、足元でジリ高が進む金価格の上昇と整合性が取れるデータとなっています。大口買いなどを背景に、金価格は年初来高値更新に至るのか、今後の金価格の行方が注目されます。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
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