最終更新日:2026年5月25日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では大口投資家などの先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)は大口投資家の売買に値動きが左右される傾向があり、売買データの分析で今後の方向性が把握できる場合があります。
こちらの記事では米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有高の推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前々回(26.3.23掲載)
| 日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2/24 | 420,182 | 121,233 | 25,259 | 95,974 | 5,160.5 |
| 3/3 | 409,789 | 123,456 | 25,539 | 97,917 | 4,970.5 |
| 3/10 | 413,956 | 125,077 | 26,678 | 98,399 | 5,198.7 |
| 3/17 | 411,388 | 130,147 | 28,104 | 102,043 | 5,011.3 |
前回(26.4.27掲載)
| 日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3/24 | 403,925 | 119,562 | 27,941 | 91,621 | 4,506.5 |
| 3/31 | 361,409 | 120,092 | 27,278 | 92,814 | 4,699.6 |
| 4/7 | 354,877 | 120,726 | 30,694 | 90,032 | 4,733.3 |
| 4/14 | 362,274 | 125,422 | 30,281 | 95,141 | 4,738.5 |
| 4/21 | 365,842 | 123,681 | 30,705 | 92,976 | 4,738.5 |
今回
| 日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 4/28 | 369,530 | 122,257 | 32,505 | 89,752 | 4,609.6 |
| 5/5 | 367,932 | 123,353 | 29,099 | 94,254 | 4,567.8 |
| 5/12 | 376,496 | 127,242 | 29,227 | 98,015 | 4,722.6 |
| 5/19 | 379,325 | 122,894 | 29,354 | 93,540 | 4,485.4 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
ドル建ての金価格は、5月半ばにかけてジリ高が進みましたが、後半に入るとそれまでの上昇幅を戻す展開となり、全体的に方向感のない取引が続きました。4月以降4,500ドル付近が支持帯として意識されており、5月後半の下落後は4,500ドル付近で値動きが停滞中です。
CFTCのデータを見ると、総取組高は微増ながら概ね横ばいです。大口買いも横ばいですが、大口売りが微減のため、「差し引き」は微増となりました。全体としてCFTCデータに大きな変化は生じておらず、金の値動き同様に方向感のない状態です。
金は昨年までの大幅高、今年前半の急落と大きな動きが続きましたが、5月は大口投資家の様子見スタンスもあり、方向感の出ない取引が続く1ヵ月となり、次の値動き待ちの状態です。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前々回(26.3.23掲載)
| 日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
|---|---|---|
| 2/24 | 1,094.18 | 473.87 |
| 3/3 | 1,099.04 | 488.71 |
| 3/10 | 1,073.56 | 475.06 |
| 3/17 | 1,069.56 | 460.27 |
| 3/19 | 1,062.13 | 442.50 |
前回(26.4.27掲載)
| 日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
|---|---|---|
| 3/24 | 1,052.99 | 403.30 |
| 3/31 | 1,047.26 | 418.72 |
| 4/7 | 1,054.41 | 426.39 |
| 4/14 | 1,049.47 | 437.96 |
| 4/21 | 1,055.47 | 438.65 |
今回
| 日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
|---|---|---|
| 4/28 | 1,040.90 | 425.26 |
| 5/7 | 1,033.48 | 432.97 |
| 5/12 | 1,038.27 | 431.15 |
| 5/19 | 1,036.85 | 417.37 |
ETFデータでは金保有高の減少がわずかに進みましたが、ほぼ横ばい状態です。同様の傾向が3月後半から続いており、3月後半に比べると金保有高の減少が進んでいます。
CFTCデータと同様、ETFデータからも5月は金価格及び保有高ともに大きな変化は生じておらず、次の値動き待ちの状態です。4月から引き続き、5月も我慢が必要な月となりました。
昨年までの大幅高、そして年初の急落と大きな値動きを見せた金ですが、4~5月は値動きの停滞が継続中です。株式市場ではAIブームが再燃しており、金融市場の話題は金よりもAI銘柄に移っています。本状況下、金価格の値動きが緩慢になっているのは上記で説明した通りです。また、為替市場も日本政府の円買い・ドル売り介入があり、その後は為替市場全体の値動きが停滞するなど、停滞を余儀なくする市場も増えています。
AI銘柄が注目されている間は金融市場の資金の流れとしてはリスクオンでもあり、金は後回しにされる可能性が高いと言えます。金の値動きが何を契機に再スタートするのか、注目したい所です。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii

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