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4000ドルの攻防が続く金価格、攻防の行方を占うポイントとは?

最終更新日:2026年7月9日

ドル建ての金価格は、4,000ドルを意識した値動きを見せています。下落が進む2026年の金価格ですが、4,000ドルも割れてしまうのでしょうか?金の節目価格4,000ドルをめぐる見方について、ポイントなどを解説します。

 

1.金価格はなぜ4000ドルが意識されているのか?

2026年の金価格は、2025年までとは一転し下落が進んでいます。ドル建てで見ると、1月末に5,592ドル(COMEX金先物、限月つなぎ、以下同様)の史上最高値に到達しましたが、その後は下落に転じています。いったん反発した後は停滞したものの、6月に下落を再開し、6月末には一時4,000ドルを割れて3,955.4ドルの安値を付けました。

金はドル建てで見ると、4,000ドルが注目されています。節目価格4,000ドルを維持すれば中長期的な上昇トレンドが続くとの見方がある一方、完全に下抜けすれば下落が加速する可能性もあります。

2025年の金価格の上昇は、トランプ政権の政策への不透明感によるドル離れ、各国中央銀行による金の大量購入、地政学的リスクの高まりなどが重なり、金が安全資産として世界中から資金を集め続けてきたことが背景にあります。しかしその流れは変わりつつあり、相場を押し上げる力と押し下げる力が拮抗する状態です。

 

2.4000ドルでの反発を後押しする3つの要因

4,000ドルを再び上抜けるシナリオを支える要因は、複数存在しています。

まず中央銀行による金購入の継続です。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによると、2026年第1四半期の世界の中央銀行による金の純購入量は244トンに達し、前年同期比で3%増加しました。脱米ドルの流れを背景に、新興国などの中央銀行が外貨準備として金を積み上げる動きは続いており、安定した買い手として金価格を下支えしています。

次に地政学的リスクの継続です。イランをめぐる中東情勢の緊迫化は、未だ完全な収束には至りません。歴史的に見ても、地政学的リスクが高まる局面では株式などのリスク資産から金へ資金が移動する動きが繰り返されてきました。米国とイランの暫定合意をめぐる不透明感が続く限り、安全資産としての金への需要は下支えされやすいと言えます。

更に、インフレの長期化も金価格上昇の要因です。エネルギー価格の高騰が世界的に物価を押し上げています。インフレ局面では現金の価値が目減りするため、実物資産である金の魅力が相対的に高まります。

 

3.4000ドル割れを後押しする2つの要因

一方で、金価格の4,000ドル割れを後押しする要因も存在しています。

現在の金相場における大きな逆風は、米FRBの利上げ観測の急浮上です。2026年6月17日に開かれたFRBウォーシュ新体制下での初のFOMCでは、経済見通しについて、2026年のインフレ率の予想が上方修正されました。また政策金利の予想中央値も引き上げられ、利下げ観測は後退しました。ウォーシュ議長は初の会合後の記者会見で「物価の安定を最優先する」という姿勢を強調しました。CME FedWatch Toolを見ると、9月の利上げ確率は一時70%を超える水準まで上昇しました。その後は50%台で推移しているものの、年内の利上げへの警戒感は高止まりしており、金価格の重荷となっています。

一般的に金利が上昇する局面では、利息を生まない金の魅力は相対的に低下し、金には下落圧力がかかります。また足下で米ドル高も進行しており、ドル建ての金には二重の売り圧力がかかる状態です。

そして、金ETFからの資金流出も懸念材料です。WGCのデータによると、3月の世界の金ETFからの純流出額は84.3トンに達し、2022年9月以来の最大の月間純流出を記録しました。また、価格下落が進んだ6月もETFからの資金流出が生じています。機関投資家が金から資金を引き揚げる動きが続いており、ETFへの資金流入の回復まで、金に対する下落圧力が続く可能性もあります。

 

まとめ:今後の金価格の行方を見極める2つのポイント

4,000ドルの攻防が続く中、今後の金価格の方向性を見極める上で重要なポイントは以下の2点となります。

まず注目すべきはインフレの動向を受けた利上げの行方です。今後発表される米国の各インフレ指標がインフレの後退を示せば、FRBの利上げ観測が後退し、ドルと国債利回りが低下して金相場が反発する可能性があります。逆にインフレが加速して、市場が更なる利上げを織り込む展開となれば、金価格は4,000ドルを割れて、下落が加速する可能性も高まります。

次に中東情勢の行方です。米国とイランの暫定合意が正式に署名され、ホルムズ海峡を通じた石油の流れが再開すれば、エネルギー価格主導のインフレが緩和されます。その場合は安全資産としての金への需要が後退し、相場の下押し圧力が強まる可能性があります。一方で米国とイランの交渉が決裂し紛争が再燃すれば、有事の金買いが再び勢いを取り戻す展開も予想されます。

金は短期的な値動きに翻弄されやすい資産ですが、中央銀行による継続的な購入・地政学的リスク・インフレという3つの後押し要因は健在です。節目価格4,000ドルを意識しながら、3つの要因を継続的に確認する姿勢が、今後の金相場を読み解く上で欠かせないと言えるでしょう。

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執筆者 石井 僚一

金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii

石井 僚一イラストイメージ

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