最終更新日:2025年11月25日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では大口投資家などの先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)は大口投資家の売買に値動きが左右される傾向があり、売買データの分析で今後の方向性が把握できる場合があります。
こちらの記事では米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有高の推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前回(25.9.30掲載)
| 日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 8/26 | 443,760 | 175,494 | 33,577 | 141,917 | 3,443.2 |
| 9/2 | 492,908 | 196,127 | 34,625 | 161,502 | 3,599.5 |
| 9/9 | 509,625 | 198,907 | 35,388 | 163,519 | 3,663.8 |
| 9/16 | 516,221 | 195,347 | 36,376 | 158,971 | 3,727.5 |
| 9/23 | 528,789 | 198,826 | 38,277 | 160,549 | 3,796.9 |
| 9/30 | 493,748 | 184,199 | 38,972 | 145,227 | 3,887.6 |
| 10/7 | 485,559 | 170,587 | 40,828 | 129,759 | 4,007.9 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
米政府機関閉鎖の影響により、CFTCから開示されるデータ(COTレポート)も更新がなされていませんでしたが、11月12日につなぎ予算案が議会で可決されました。その後、徐々に未更新データの更新は進んでいますが、11月24日時点では10月7日までのデータしか更新されていません。このため、現状のデータで11月後半の金市場の状況や今後の予想を行うのは困難な状態です。
ただし、総取組高は9月23日の52.8万枚がピークとなっています。価格は10月7日に4,000ドルに到達しましたが、総取組高の減少と大口の買いと売りを引いた「差し引き」の減少が進んでおり、買い圧力の少ない中で上昇が進む状態となっています。
いずれにしても今後のデータ更新待ちの状態です。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前々回(25.9.30掲載)
| 日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
|---|---|---|
| 8/26 | 959.92 | 310.33 |
| 9/2 | 990.56 | 319.14 |
| 9/9 | 979.68 | 334.48 |
| 9/16 | 979.95 | 340.21 |
| 9/24 | 996.84 | 345.74 |
前回
| 日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
|---|---|---|
| 10/1 | 1,018.89 | 355.60 |
| 10/8 | 1,014.58 | 370.43 |
| 10/15 | 1,022.59 | 386.59 |
| 10/22 | 1,052.36 | 379.52 |
今回
| 日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
|---|---|---|
| 10/29 | 1,036.05 | 365.06 |
| 11/5 | 1,038.62 | 364.19 |
| 11/12 | 1,046.64 | 378.21 |
| 11/19 | 1,043.71 | 371.40 |
ETFデータは更新が続いており、価格は10月半ばの380ドル台が天井です。10月後半に360ドル台まで下落しましたが、11月は370ドル台を回復しました。保有高は10月22日の1,052.36トンがピークで、その後は若干下落した1,030~1,040トンの水準で推移しています。本水準は価格が天井となった10月半ばの水準を上回っています。
このため、金価格は天井から若干下落した水準にあるものの、保有高としては売りスタンスとはなっていません。更に保有高の増加が進めば、再度価格上昇に進む可能性も残されている状態です。
なお、COTデータがほぼ未更新のため、今回はETFデータも9月30日掲載分を残しました。8月後半からのETFデータを見ると、保有高の増加とともに価格の上昇も進んでいます。10月半ばをピークに価格は若干下落しているものの、保有高は依然として1,000トンを超えており、8月末~9月の水準に比べると高い水準にあります。このため保有高から見ると、少なくとも金価格が大きく下落する徴候は現れていません。
米政府機関閉鎖の影響で更新がなされていなかったCFTCデータも、今後徐々に更新がなされる見込みです。ただし、ETFデータの状況からは、CFTCデータの建玉情報に大きな変化は生じていない可能性があります。
金の価格は10月後半がピークとなった後、11月はピークから若干下落した水準で値動きが停滞中です。年末に向けて再度上昇が進むか、それとも停滞状態が年内は続くのか、その行方が注目されます。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii

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