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金の作り方を工程別に分かりやすく解説
冶金や製錬・精錬の意味も!

最終更新日:2023年11月29日

美しく輝く金色が特徴的な「金」は、安定性の高い資産として多く知られています。しかし、金の作り方まで把握しているという方は意外と少ないのではないでしょうか。

金の作り方や金ができるまでの工程を知ることで、金の希少価値をより深く理解できるほか、金製品の買い時・売り時といったタイミングの把握にもつながるでしょう。

当記事では、金の作り方として最も重要な「冶金」の基本情報から、金作りと深い関係性のある「製錬」「精錬」の概要、さらに現代における金の作り方まで詳しく紹介します。

 

1.金の作り方で重要な冶金とは?

金の作り方を知る上で欠かせないものが、「冶金(やきん)」です。

単語に含まれる「冶」という漢字は本来「金属を溶かすこと」を指し、「金」という漢字は金属全般を意味します。つまり、冶金とは「金属を鉱石から取り出し、何らかの加工を施して実用可能な金属材料を製造する手法」のことです。

今や「知っている人は知っている」という単語となったものの、冶金には非常に長い歴史があり、いわば先人がつくり上げてきた技術でもあります。冶金術は文明の発展に大きく貢献し、近年では化学的な手法で金属を抽出する「科学冶金」が主流となりました。

そこでまずは、冶金の歴史・現代の冶金と中世の錬金術について詳しく説明します。

 

1-1.冶金の歴史

冶金のはじまりは、紀元前5000年ごろの新石器時代まで遡ります。当時、中近東・バルカン半島の人々が自然銅を溶融・鋳造することを発見しました。これをきっかけに銅の製造技術が発展し、約2000年後の古代メソポタミアでは、木炭で被覆した溶融銅に錫石を加えると石よりも硬い青銅ができることも発見され、青銅器時代に突入します。

あらゆる金属資源・加工技術が誕生したのち、紀元前1500年前後には鉄も発見され、人類は溶融・精錬・鋳造といった冶金技術を著しく発展させていきます。鉄器の製造技術が確立されて以降、武器・農具・工具は徐々に青銅器から鉄器に変化しました。

中世では水車を利用したことで冶金技術に革命が起こり、従来の技術では不可能だった金属材料を大量に製造できるようになりました。11世紀では、金属の年間産出量が銅8,000t、鉄40,000t、銀100tに達したとも言われています。

産業革命以降も冶金技術の発展は止まらず、現代では高炉技術をはじめとしたさまざまな技術が向上し、自然界には存在しない頑丈な金属の製造も可能となっています。

 

1-2.現代の冶金と中世の錬金術

人類は古くから「金を製造したい」と考え続け、古代ギリシャの哲学者たちは「錬金術」を用いた金の製造を何度も試みたと言われています。錬金術とは、銅や鉄、鉛といった金属を金・銀に変化させようとする技術のことです。

錬金術は化学にもとづいた技術ではなく、実現不可能という結果に終わりました。しかし、古代の哲学者や錬金術師たちが残した知識や技術は元素周期や電子発見につながったことから、現代の冶金学・冶金技術の基盤にもなっています。

 

2.金の作り方に関係のある製錬・精錬とは

現代において金は、金塊やインゴットとも呼ばれる「金地金」での取引が一般的です。この金地金は、採掘した金鉱石から「製錬」「精錬」というさまざまな技術・過程を経て作られています。

製錬・精錬はいずれも読み方が同じであり、言葉から連想できるイメージや言葉の活用シーンもよく似ていることから混同されやすくなっています。しかし、製錬と精錬ではその意味に大きな違いがあることに注意が必要です。

ここからは、金の作り方に大きな関連性のある製錬・精錬それぞれの意味を詳しく解説します。

 

2-1.製錬とは

製錬とは、還元反応を利用して金属を鉱石から取り出す作業のことです。英語では「Smelting(スメルティング)」と言い、広義では後に説明する精錬も含めて製錬とする場合もあります。

現代における製錬方法は、鉱石をアルカリや酸などの溶液に浸して金属を取り出す「湿式製錬」と、鉱石を高温の溶鉱炉で溶かして金属を取り出す「乾式製錬」の2つが主流となっています。

 

2-2.精錬とは

精錬とは、金属から不純物を取り出す作業のことです。英語では「Refining(リファイニング)」と言い、冶金の過程においては製錬のあとに行われる作業となります。

製錬によって鉱石から取り出した金属の中には多くの不純物があるため、そのままの状態では使いものになりません。そのため、金属の中の不純物を取り除き、純度や質をさらに高めるために精錬を行うことが一般的です。

また、精錬と似た意味として用いられる単語には「精製」が挙げられます。精製とは、不純物を取り除いて品質を高めることを意味します。精錬は精製手法の1つであり、対象が金属に限定されたものと考えると分かりやすいでしょう。

 

3.【工程別】現代における金の作り方を解説

金の作り方を知る上で重要な「冶金」や「製錬・精錬」については理解できたものの、実際に金鉱石からどのような流れで金地金が完成するのかイメージできないという方も多いでしょう。

そこで最後に、現代における金の作り方や製造工程を順に詳しく説明します。

1 金鉱石を採掘する
金を作るためには、金鉱石が欠かせません。金鉱石は、金鉱脈から採掘することが基本です。金鉱脈は、山や河川、さらに塩素を多く含んだ温泉地などで多く見つかっています。採掘した金鉱石は破砕・選別し、貯鉱場へと運ばれます。
2 金鉱石から銅を製錬・精錬する
採掘した金鉱石には、さまざまな成分が含まれています。各種金属を取り出すために、まずは金鉱石を自溶炉に送り銅を製錬します。その後、転炉で硫黄と鉄を取り除き、精製炉でさらに精錬して「銅電解用アノード(電極板)」に仕上げます。銅電解用アノードには、金・銀も含まれます。
3 電気分解によって金や銀に分ける
精製した銅電解用アノードを陽極として電気分解にかけると、金・銀などの貴金属は沈殿物となって分離します。この段階は、銅の製造においては「精錬過程」ですが、金の製造においては「製錬過程」となります。
4 塩素ガスで金が含まれる液体を抽出する
金・銀などの沈殿物を塩素ガスで浸出処理すると、銀を含む残留物が沈殿し、金を含む浸出液が得られます。溶媒抽出法を用いて浸出液から金を分離させたのち、金のみを抽出します。
5 抽出した金を精錬する
抽出した金をさらに精錬することで、純度の高い金粉末ができ上がります。
6 金地金などに加工する
純度の高い金粉末は、クリーンルーム内で2~3mm程度のショット金や1kg以上のインゴットなど、あらゆるサイズの金地金に加工されます。最終工程で加工した金地金は、その後商品として市場に流通します。

上記のように、採掘した金鉱石から金地金を作るまでにはあらゆる冶金技術が必要であり、時間もかかります。また、冶金は金地金だけでなく、銀や銅の製錬・精錬・精製との関連性も深いと言えるでしょう。

また、安定して金を採掘できる金鉱脈は世界中に存在する上、国内でも未だに大量の金が眠っていることが予想されています。あらゆる技術が発展し、金採掘のための設備がより向上した際は、国内の至るところで金が採掘される可能性もゼロではありません。

 

まとめ

冶金とは、金属を鉱石から取り出し、適切な加工を施して金属材料を製造する手法です。先人がつくりあげてきた歴史の長い技術でもあり、古代の哲学者や錬金術師たちが残した知恵が基盤となっています。

安定性の高い資産としても知られる金地金は、金鉱脈で採掘した金鉱石から製錬工程や精錬工程といったさまざまな過程を経て作られています。金の製造方法を知っておくことで、金の希少性や金価格の相場・決まり方の理解にもつながるでしょう。

買取本舗七福神では、金・貴金属買取を行っています。買取手数料・査定料は一切不要なため、自宅に眠っている金・貴金属をなるべく高値で買い取ってほしいという方やすぐに現金化したいという方は、ぜひお気軽にお持ち込みください。店頭買取はもちろん、宅配買取・出張買取にも対応しております。

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