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金継ぎとは?歴史や基本的なやり方・手順を
工程別に分かりやすく解説

最終更新日:2023年10月03日

金継ぎ(きんつぎ)は、破損した陶磁器を漆などでつないで修復する日本の伝統技法です。金継ぎによってひびや欠け、割れなどが修復された陶磁器は、元のデザインとは異なる味わいが楽しめるのが魅力です。お気に入りの食器類が壊れてしまっても、金継ぎで修復すれば見た目を楽しみながら長く使えます。

当記事では、金継ぎの大まかな種類や歴史、基本的なやり方を工程別に解説します。金継ぎを始めてみたいという方や、金継ぎの基本的な情報を知りたい方は必見です。

 

1.金継ぎとは?

金継ぎ(きんつぎ)とは、破損してしまった陶磁器を漆などでつないで修復する日本の伝統技法です。金継ぎは大きく分けて「伝統金継ぎ」と「簡易金継ぎ」の2種類があります。伝統金継ぎと簡易金継ぎの特徴は、下記の通りです。

【金継ぎの主な種類】

●伝統金継ぎ

伝統金継ぎは、天然漆を使用して修復する方法で、完成するまでに1?3か月、長くて半年程かかると言われています。時間はかかりますが、自然の材料のみを使用しているため、皿や茶碗などの食器に向いている修理方法です。

●簡易金継ぎ

簡易金継ぎは、合成漆を使用して修復する方法です。費用も安く完成まで時間がかからないというメリットもありますが、食品安全法を通っていない材料が多く、食器類の修復には不向きというデメリットもあります。

ここからは、金継ぎを始める前に知っておきたい「金継ぎの歴史」について紹介します。

 

1-1.金継ぎの歴史

漆を使った物の修復自体は歴史が古く、日本では縄文時代から痕跡が見つかっています。江戸時代にも漆を使った器の修復が行われていましたが、現代のように金粉を使った金継ぎは室町時代から始まったと言われています。室町時代には蒔絵と呼ばれる漆の上に絵を描く技法が確立し、その後蒔絵の技術を応用した金継ぎが誕生しました。

また、15世紀に茶道が流行した際、茶道に必要不可欠な茶器は当時非常に高価なぜいたく品でした。そのため、高価な茶器が破損してしまったときに天然漆と金粉を使って見た目も美しく修復されたことが、金継ぎ文化のはじまりと言われています。

 

2.器の状態によって異なる金継ぎのやり方

金継ぎの方法や修理手順は、器の破損状況によって異なります。器の金継ぎをする場合は、傷の有無など器の破損状況を入念にチェックした上で、修理の計画を立てることが大切です。

例えば器が割れている場合、まずは麦漆(むぎうるし)で接着を行います。大きな欠損がある場合は、欠けた部分を刻芋漆(こくそうるし)で埋めて、その後小さい凹凸を錆漆(さびうるし)で埋めて完成です。

器にひびが入っている場合、金継ぎ作業は最も難しいと言われていることから、力を入れて割れそうなものはあらかじめ割ってから金継ぎを行うこともあります。割ることができないくらい小さなひびは、生漆を両面から塗って染み込ませた上で小さい凹凸を錆漆で埋めて仕上げていく方法をとることもあります。

 

3.金継ぎの基本的なやり方を工程別に解説!

割れてしまった器と部分的に欠けてしまった器では、金継ぎを行う工程が少し異なります。割れた器の金継ぎには破片を接着する工程がありますが、欠けた器の場合はパテやペーストで欠けた部分を補った後に、はみ出た部分を削る工程が必要です。

また、金継ぎで使用する生漆の原料でもあるウルシオールは肌をかぶれさせることがあるため注意が必要です。漆が直接肌に触れないようにゴム手袋をつけて作業したり、長袖を着るなどして肌を出さないようにしましょう。

ここでは、金継ぎの基本的なやり方について、工程別に解説します。

 

3-1.【工程1】断面を面取りする

金継ぎは、割れた断面をサンドペーパーやダイヤモンドやすりで削る工程からはじまります。サンドペーパーやダイヤモンドやすりで器の割れ面の角をやすり、少し面取りを行います。接着面の面取りを丁寧に行うことで、錆漆がしっかりと断面に入り込み、修復後に漆がはがれることを防いでくれるので、根気よく行いましょう。

断面の面取りではあまり神経質にならず、接着後に錆漆が少し入る程度の溝を作るのがポイントです。 割れ面の角に対して45度程度の角度で面取りをするとよいでしょう。

 

3-2.【工程2】接着剤で破片を貼る

面取りを行った後は、割れた部分の接着を行います。水で練った小麦粉に生漆を加えて、麦漆という接着剤を作ります。麦漆を破片同士の断面に塗ってしっかり貼り合わせた後は、接着部分がずれないようにマスキングテープなどで固定するとよいでしょう。

漆が固まるには温度が約25~30度、湿度が約70?80%が適していると言われています。そのため、箱の中にビニール袋を敷いた上に濡れ雑巾を置き、貼り合わせた器を入れた後に蓋をして湿度を保ちながら、暖かい場所に1週間以上放置します。

 

3-3.【工程3】接着面を滑らかに削る

漆が硬化した後は、はみ出た麦漆を耐水ペーパーやナイフで削ったり研いだりして滑らかにします。滑らかにする工程は金継ぎの工程の中でも一番手間がかかると言われており、紙やすりなどでこする作業はとても重労働です。

ここでのポイントは平丸の彫刻刀や障子紙用丸刃カッターなど、使い勝手の良い刃物を使うことです。器の形状に合った刃物を使うことで手早くきれいに仕上げることができ、金継ぎ作業全体の効率化につながります。

 

3-4.【工程4】穴・ひびの隙間を埋める

金継ぎで用いられる欠損部分を直す素材としては、主に刻苧漆と呼ばれる漆のパテと、錆漆と呼ばれる漆のペーストの2種類があります。どちらの素材を使うかは、器についた傷の深さによって決めていきます。

接着後の欠損部分が2mm未満の場合は、水練りした砥之粉(とのこ)に生漆を混ぜた錆漆をヘラでこそぎつけながら埋めていきます。欠損部分が2mm以上と大きい場合は、刻芋漆を使うとよいでしょう。隙間を埋めた後は均一になるようにならすのがポイントです。

 

3-5.【工程5】水研ぎをする

隙間を埋めた錆漆や刻芋漆が乾燥したら、耐水ペーパーや砥石を使って水研ぎを行います。耐水ペーパーを使う場合は2cm角くらいの大きさに切り取ってから折りたたみ、水に浸しながら錆漆を塗った表面が平らで滑らかになるように丁寧に研いでいきましょう。砥石を使う場合も、水に砥石を浸してから水研ぎを行います。水研ぎをした後は、器に残った余分な水分をティッシュや乾いたウエスで拭き取っていきます。

水研ぎの工程でのポイントは、器に傷をつけないためにも隙間を埋めた錆漆の上のみを耐水ペーパーや砥石で研ぐようにすることです。耐水ペーパーでも器に傷がつくことがあるので、気をつけましょう。水研ぎは根気のいる作業ですが、仕上がりに影響が出ないように丁寧にしっかりと研くことが大切です。

 

3-6.【工程6】漆を塗布する

水研ぎが終わったら、錆漆や刻苧漆で埋めた部分、接着した部分に黒呂色漆(くろろいろうるし)を筆で塗っていきます。黒呂色漆は厚く塗ってしまうと縮んでしわになってしまうため、薄く塗るようにすることが綺麗に仕上げるコツです。黒呂色漆を塗り終わったら1日漆風呂に入れて乾かし、塗布した部分の表面に対して水研ぎを行います。黒呂色漆を塗って乾かし、水研ぎを行う工程を3回程繰り返して塗膜を厚くしましょう。

黒呂色漆を塗る工程が終わったら、最後は金粉の下地となる弁柄漆(べんがらうるし)を作って、筆で塗っていきます。黒呂色漆の上からかすれるくらいの薄さで弁柄漆を塗っていくことで、垂れたりしわになったりすることを防げるので、焦らずゆっくりと塗ることがポイントです。

 

3-7.【工程7】金粉を蒔く

弁柄漆を塗り終えて15~30分程経ったら、最後の仕上げに金粉を蒔きます。弁柄漆を塗布した後に少し乾燥させることで金粉ののりがよくなるため、仕上がりをよくするためにも必ず少し乾燥させるようにしましょう。乾燥後は金粉を真綿にとって、弁柄漆を塗布した部分を優しく撫でるようにしながら金粉を蒔いていきます。器の雰囲気や好みによっては、銀粉を蒔く銀継ぎも一味違った味わいが出るためおすすめです。

金粉を蒔く工程でのポイントは、金粉を思い切ってたっぷりとつけることです。時間の経過とともに下地の弁柄漆の色が出てきてしまうことがあるため、下地が出てこなくなるまでしっかりと金粉を足して蒔いていきましょう。金粉蒔きが終わったら、漆室で3?4日程乾燥させて完成です。

 

4.初心者には材料・道具が揃った金継ぎキットもおすすめ

金継ぎは、時間と手間さえ惜しまなければ金継ぎ技術がなくても自分でやることは可能です。しかし、初めて金継ぎを行う方の中には「個人で材料を揃えるのは大変」と感じる方もいるでしょう。気軽に金継ぎをしたい方には、金継ぎに必要な材料や道具がセットになった「金継ぎキット」を購入するのもおすすめです。

金継ぎキットには自然の素材のみを使った伝統金継ぎキットから、手軽に挑戦することができる合成樹脂を使った簡易金継ぎキットまで、さまざまな商品が販売されています。中には金継ぎ教室やワークショップがセットになった金継ぎセットもあるので、好みやレベルに合わせて自分に合った商品を選ぶとよいでしょう。

 

まとめ

金継ぎは、破損した陶磁器を漆などで接着して修復する日本の伝統技法です。金継ぎは主に天然漆を使用する「伝統金継ぎ」と合成漆を使用する「簡易金継ぎ」があります。金継ぎの基本的な流れは、接着剤で破片を貼りつけ、穴・ひびの隙間を埋める工程などを経て漆を塗布し、最後に金粉を蒔いて完成です。

買取本舗七福神では、国内外問わずさまざまなブランド食器の買取を行っています。店頭買取だけでなく便利な宅配買取も行っていますので、自宅で使わずに眠っている食器や古い食器がある方は、ぜひ無料の買取査定をご利用ください。

参考:骨董品・美術品買取こたろう

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