【色別】サファイアの価値
クラリティ・原産地などの査定基準も

サファイアの購入や売却を検討する際、「サファイアの種類によって価値が異なるのかどうか」について気になる方も多いのではないでしょうか。サファイアの価値を決める基準・要素を知ることで、適正価格で宝石の売買を行うことが可能です。

この記事では、サファイアの色合いによる価値の違いや、色合い以外でサファイアの価値を決める主な査定ポイントについて解説します。価値の高いサファイアを選んで購入したい方や、手元のサファイアを適正な価格で売却したい方はぜひ参考にしてください。

サファイアとは、コランダムと呼ばれる鉱物の一種です。

コランダムはクロム元素によって赤く発色するルビーと、クロム元素の含有量が少なく赤以外の色合いを持つサファイアに分けられます。

サファイアの色の種類（含まれる主な鉱物の色合い）は、次の通りです。

ここでは、サファイアの色合いによる価値の違いについて解説します。

ブルーサファイアは、数あるサファイアの中で最も高く評価される色合いです。

ブルーサファイアの評価は、色味や濃さによって異なります。ブルーサファイアの中でも、「コーンフラワーブルー」と呼ばれる、少し明るく深みのあるブルーが特に高く評価される傾向です。

また、わずかに紫がかったブルーサファイアは「ロイヤルブルー」と呼ばれ、コーンフラワーブルーの次に高く評価されます。

色合いの鮮やかさや明るさも、ブルーサファイアの価値を決める要素であり、より鮮やかで、ほどよい明るさのサファイアは高値で取引されます。

パパラチャとは、スリランカの言葉で「蓮の花」を意味する言葉です。スリランカに咲く蓮のように美しい色合いにちなみ、パパラチャサファイアの名がつけられました。

パパラチャサファイアは、ブルーサファイアを除くファンシーカラーサファイアの中で最も価値の高い鉱物とされています。産出量が少なく、市場における希少性が高いことが、パパラチャサファイアが高く評価される理由です。

パパラチャサファイアの色合いは、ピンクとオレンジの中間となっています。なお、ピンク・オレンジのいずれか一方の色味が強い場合、パパラチャサファイアとは認められません。

パパラチャサファイアも、より鮮やかなものほど高値で取引されます。

赤い発色を示すクロムがルビーほど含まれず、ピンクまたは紫の色合いとなった鉱物がピンクサファイア・パープルサファイアです。ピンクサファイアやパープルサファイアはルビーと似た色合いを持つものの、含まれる成分が異なるためルビーほどの価値は認められません。

ファンシーカラーサファイアの中では、ピンクが鮮やかなサファイアの人気が高く、高値で取引される傾向です。また、濃い紫で落ち着いた印象のパープルサファイアも人気があり、高く評価されます。

イエローサファイアやオレンジサファイアは、ファンシーカラーサファイアの中で比較的多く産出されるサファイアです。そのため、イエローやオレンジの色味が薄いサファイアは、ほかの色合いと比較して安値で取引される場合があります。

ただし、イエローの色味が濃く、黄金に輝くような見た目の「ゴールデンサファイア」は高く評価される傾向です。ゴールデンサファイアとして扱われる高品質なサファイアは希少性が高いため、高値で取引されます。

夕日のような色のオレンジサファイアは「サンセットサファイア」と呼ばれ、オレンジサファイアの中で高く評価される鉱物です。ただし、色が濃すぎて見た目が暗い場合は、色鮮やかなオレンジサファイアほどの価値が認められません。

カラーチェンジサファイアは、蛍光灯や白熱灯など異なる照明の下で見たときに色合いが変化するサファイアです。紫・イエロー・グリーン・ブラウンなど、鉱物によって異なる色合いに変化します。

色合いが美しく、変化が大きなカラーチェンジサファイアは、高く評価される傾向です。また、色合いの変化が珍しい種類のカラーチェンジサファイアも、希少性が高いため高値で取引される場合があります。

サファイアの価値を決める要素は、色合いだけではありません。主な評価要素は次の通りです。

ここでは、上記の中でも特にサファイアの価値査定に影響を与える4つの要素を解説します。

クラリティ（clarity）とは、透明度を表す用語です。一般的に、透明度が高いサファイアほど見た目が綺麗なため、価値が高いとみなされます。

サファイアの内部に傷や不純物があるとクラリティが損なわれ、値打ちが下がる傾向です。ただし、針状の内包物が星形の線を作った状態は「スターサファイア」と呼ばれ、査定時の評価が高まる可能性があります。

カラット（carat）は、重さやサイズの目安として扱われる指標です。1カラットを2グラムとして、カラット数の大きなサファイアほど高く評価されます。

市場で流通する標準的なサイズのサファイアは、5カラット未満であることが一般的です。5カラット～10カラット以上のサファイアは数が少ないため、より高い値段がつけられます。

採掘された時点でサイズが大きすぎるサファイアは、市場での需要が見込めません。そのため、適度なカラット数にカットされて販売される場合があります。

サファイアは採掘された場所によって色合いなどの特徴が異なるため、査定時に原産地が重視される傾向です。サファイアが産出する主な地域として、次のような国があげられます。

査定時に最も高く評価されるサファイアの原産地は、パキスタン北東部とインド北部の国境付近にある「カシミール」です。カシミール産のサファイアは見た目が良く希少価値も高いため、高値で売買されます。

カシミールの次に高く評価される原産地は「ミャンマー」です。日本国内では、ミャンマー産のブルーサファイアのみ「ロイヤルブルー」の呼称が使用されます。

また、マダガスカル産のサファイアは、カシミール産のサファイアと似た性質を持つため、高く評価される傾向です。

一方で、スリランカ産のサファイアは透明感のある見た目が特徴ですが、色のついていないコランダムを加熱し、ブルーにしているケースがあります。そのため、カシミール・ミャンマー・マダガスカルのサファイアと比較して評価が低いと言えます。

サファイアは加熱されると色味が深くなる性質があります。そのため、市場に流通する多くのサファイアは、加熱処理によって色味が整えられている傾向です。

処理が行われていない天然の状態であり、美しい色を持つサファイアは希少価値が高く、高値で取引されます。

また、一般的なサファイアは加熱処理が行われているため処理済みであっても査定評価に悪影響を与えることはほぼありません。ただし「拡散加熱処理」と呼ばれる着色のための加工処理が行われたサファイアは、低く評価されやすいため注意してください。

サファイアにはブルーサファイアやパパラチャサファイアなど、色合いの異なる複数の種類があります。サファイアの色によって価格差があり、より希少性や人気の高いサファイアほど買取価格が高くなる傾向です。

また、色合い以外でサファイアの価値を決める主な要素として、クラリティ・カラット・原産地なども重視されます。同じ色合いであっても、品質が高く大きなサファイアほど、高値での売買が可能です。

サファイアを使用したジュエリーの購入や売却を検討している方は、色合いや品質を基準に宝石を選んでみてはいかがでしょうか。