
最終更新日:2025年9月30日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では大口投資家などの先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)は大口投資家の売買に値動きが左右される傾向があり、売買データの分析で今後の方向性が把握できる場合があります。
こちらの記事では米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有高の推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前回(25.8.25掲載)
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
7/22 | 489,423 | 194,753 | 34,819 | 159,934 | 3,507.1 |
7/29 | 445,259 | 170,918 | 36,662 | 134,256 | 3,383.0 |
8/5 | 449,647 | 186,304 | 32,317 | 153,987 | 3,435.0 |
8/19 | 446,152 | 186,304 | 34,050 | 148,287 | 3,358.9 |
今回
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
8/26 | 443,760 | 175,494 | 33,577 | 141,917 | 3,443.2 |
9/2 | 492,908 | 196,127 | 34,625 | 161,502 | 3,599.5 |
9/9 | 509,625 | 198,907 | 35,388 | 163,519 | 3,663.8 |
9/16 | 516,221 | 195,347 | 36,376 | 158,971 | 3,727.5 |
9/23 | 528,789 | 198,826 | 38,277 | 160,549 | 3,796.9 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
総取組高(市場全体の取引残高)は7月22日の48万枚から減少傾向にありましたが、9月に入ると増加が進み、9月9日には50万枚に到達。以降も増加が続いています。大口買いも7月22日の19万枚から減少が続きましたが、9月2日には19万枚を回復して、23日は20万枚目前の水準です。「差し引き」も9月に入ると16万枚のプラスになりました。全体として9月に入り市場参加者が増加しており、大口も改めて買いを進めている状況がうかがえます。
市場参加者の増加及び大口の買いを背景に、価格も9月から上昇を開始しています。8月は3,300~3,400ドル台を推移していましたが、9月に入ると一段上の3,500~3,700ドル台での取引となりステージが上がりました。9月は大口と価格いずれも動きを開始した月となりました。大口の買いを伴う9月の上昇が、10月も続くか注目されます。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前回(25.8.25掲載)
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
7/22 | 954.79 | 313.69 |
7/29 | 956.23 | 306.30 |
8/5 | 955.94 | 309.28 |
8/19 | 962.21 | 307.40 |
今回
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
8/26 | 959.92 | 310.33 |
9/2 | 990.56 | 319.14 |
9/9 | 979.68 | 334.48 |
9/16 | 979.95 | 340.21 |
9/24 | 996.84 | 345.74 |
金保有高は、8月までは950~960トン台で推移していましたが、9月に入ると990トンまで増加。いったん970トン台まで下落しましたが、24日は990トン台を回復しています。
順調に保有残高が増える中で、価格は8月まで310ドル台で上値を抑えられていましたが、9月に入り上昇を開始し、330~340ドル台での推移となりました。保有残高の増加と価格の上昇が同時に進む、力強い上昇を見せています。
ETFデータからは、一時的な上昇ではなく息長く上昇が続く可能性が示唆されており、10月も保有残高の増加とともに価格の上昇が続くか注目されます。
ドル建ての金価格は4月に年初来高値を更新した後、5月から高値圏での横ばい状態が続きましたが、9月から上昇を再開しました。CFTCデータとETFデータいずれも、値動きのみが進む一時的な上昇ではなく、取引ボリュームをともなう本格的な上昇を示唆しています。
5~8月の値動きの停滞後、ようやく上昇を再開した金ですが、9月の上昇が年末に向けた上昇相場の号砲となるか注目されます。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
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