
最終更新日:2025年07月29日
金と国債はともに安全資産と呼ばれる資産です。しかしそれぞれ異なる特徴があります。こちらの記事では金と国債について、値動きの違いやその違いが生まれる背景などを簡単に解説します。
目次
金と国債は、いずれも安全資産として投資家に知られる存在です。金融市場が不安定になると、株式などのリスク資産から資金が流出し、安全資産へ資金が流入する傾向があります。そのため、金と国債は類似の資産とされることもあります。しかし、両者には異なる特徴があります。
金は実物資産であり、国家や企業の信用とは無関係に価値を持ちます。また、金そのものに信用リスクはなく、貨幣価値が下がる局面や通貨の信認が揺らぐ状況下で、価値の保存手段として重宝されます。しかし、金は利息を生まないため、保有しても継続的な収入は得られません。
国債は政府が発行する債券であり、半年に1回など定期的な利息を得られます。また満期になれば元本が返済される仕組みであり、特に信用力の高い国の国債は安全性が高く、日本国債や米国債はその代表例です。
このように、金は「無利息だがインフレや信用不安に強い実物資産」、国債は「利息が得られ信用のある発行体により発行される金融商品」という特徴があります。資産保全の手段としてどちらを選ぶかは、経済環境や投資目的に応じた判断が必要です。
金と国債は、金利やインフレに対して異なる反応を示します。それらは、投資判断を行う上で重要な指標となります。
まず、金利の上昇は国債と金にとってマイナス要因です。市場金利が上がると、特に既に発行されている利回りの低い国債(既発債)は相対的に魅力が薄れ、価格が下がります。一方、金は利息を生まないため、金利が上昇する局面では相対的な魅力が減少します。金利の上昇により無利息の金への投資需要が減少し、価格の下押し圧力がかかりやすくなります。
次に、インフレが進む局面では金の価値が再認識されやすくなります。金は実物資産であり、通貨価値の下落に対し強い耐性を持ちます。そのため、物価の上昇が続くと、金は購買力を維持する手段として買われる傾向があります。一方、国債はインフレにより実質利回りが低下しやすいため投資対象としての魅力が薄れます。
ただし、インフレ連動債(インフレに応じて利払いが調整される国債)などを組み合わせれば、国債でも一定のインフレリスクの回避は可能です。それでも、金のように価格自体が直接インフレに反応する資産ではありません。
このように、金利とインフレは金と国債のパフォーマンスに異なる影響を与えます。経済状況などに応じて両資産の使い分けをすることが、安定的な資産運用につながります。
金と国債は、景気の局面により異なる動きを見せます。それぞれがどのようなタイミングで強みを発揮するかを理解することは、資産配分を考える上で役立ちます。
まず、景気拡大期は株式などのリスク資産のパフォーマンスが良くなる一方、金や国債への投資魅力は低下する傾向にあります。また、金利が上昇傾向にある時は国債価格が下落しやすく、金も利息がないため魅力が相対的に低下します。この局面では、どちらも資金の流出の影響を受けやすいと言えるでしょう。
ただし、景気後退期や金融危機時には状況が一変します。リスク回避の動きが強まると、安全資産への需要が高まります。特に信用力の高い国の国債は買われやすく、価格が上昇する傾向があります。同時に、金も通貨に代わる価値保存手段として注目され、需要が大きく高まる傾向にあります。
このように景気の局面に応じて、金と国債の特性を踏まえてポートフォリオの柔軟な調整が必要です。
金と国債は、安全資産として位置付けられるものの、その性質や市場での動きは異なります。金は実物資産として通貨の価値下落や信用不安に強く、インフレ局面で真価を発揮します。一方、国債は定期的な利息を生む金融商品であり、景気後退や金融市場の混乱時に買われやすい特徴があります。
特に注目すべきは、金と国債の相関関係が景気や金利の状況によって変化する点です。景気が安定している局面では両者とも注目されにくくなりますが、経済が不安定になると資金の逃避先として注目を集めます。どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの特徴を理解した上で、経済情勢に応じて柔軟に組み合わせることが、理想的な運用スタイルと言えるでしょう。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
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