最終更新日:2025年10月20日
金は昨年から上昇が進み、今年も9月に入り上昇を開始しています。しかし、どのような資産でも上昇相場はいずれ終わり反転します。金はどのような状態となったら下落トレンドに変わるのでしょうか?金が下落トレンドに変わるケースや、注目すべきことを取り上げてみました。
目次
金は安全資産として知られていますが、常に価格が上昇する訳ではありません。金価格は、世界的な金融環境や投資家の心理により大きく変動します。特に金利の上昇やドル高は、金の下落を引き起こす代表的な要因です。
金からは、利息や配当などのインカムゲインが得られません。そのため、各国の中央銀行が政策金利を引き上げる局面では、インカムゲインのある株式や債券などの魅力が高まります。その結果、投資資金が金から離れ価格が下落しやすくなります。
次に為替相場との関係もあります。金は世界市場で主にドル建てで取引されており、ドルが強くなると金の価格が割安となります。これにより、ドル高=金安の傾向が生まれやすくなりますが円建ても同様で、円高時は金安、円安時は金高が進む傾向があります。
更に、景気の回復や株式市場の好調も金の価格を押し下げる要因です。投資家がリスクを取る姿勢を強め、株式や債券に資金を移すと、金の需要が減少し金の売り圧力が強まります。
金が下落局面に入る時には、複数のサインが見られます。テクニカル的には、長期の上昇トレンドラインを割り込む動きです。過去に何度もサポートされていた価格帯を下抜けると、売りが連鎖的に広がります。
また、金価格が急騰した後に出来高を伴う調整局面に入るパターンもよく見られます。急上昇の反動により短期的な利益確定売りが出やすく、勢いが止まると投資家が一斉に撤退する形で下落が加速します。このような動きは、チャート上で“天井を打った”と判断されるサインとして注目されます。
そしてファンダメンタルズ的には、ドル高や金利上昇が続く間は、金相場が長期に渡り軟調になる傾向があります。アメリカの利上げ局面では、ドル建ての債券などに資金が流れやすく、金の魅力が低下します。このような状況下では、金は下落が続くケースが多いです。
更に注目すべきは、インフレの状態です。金はインフレのレヘッジ資産として買われますが、物価上昇が鈍化すると、金への資金流入が減少し、下落傾向が強まります。市場が“インフレは落ち着いた”と織り込み始めた時点で、金価格はピークアウトする可能性があります。
金が下落しやすくなる背景には、世界経済や金融市場の状況が大きく関係しています。特に注目すべきは「金利」、「為替」の2つです。
まず、金利上昇局面では金が売られやすくなります。次に、世界経済の安定期も金の下落要因となります。景気が拡大し、企業業績が好調な時期には、投資家はリスク資産である株式に資金を移します。その一方で、安全資産の金は敬遠されやすく、需給バランスが緩むことで価格が下がります。リーマンショックやコロナ危機などの不安定期に金が買われるのとは逆の現象です。
更に、インフレの低下や金融引き締めの加速も金の重荷です。中央銀行が積極的に利上げを行い、インフレが抑え込まれると、インフレヘッジとして金を買う必要性が薄れます。安全資産としての金に対する需要が後退し、金価格は下落しやすくなります。
金は長期的に価値を保ちやすい資産ですが、相場環境によっては下落トレンドに転じる場合があります。特に、金利上昇やドル高、世界経済の安定期などは金に逆風となることが多く、上昇局面だけを前提とした投資は危険です。価格変動の要因を理解し、リスクを踏まえた運用が求められます。
金は長期の資産保全を目的とすることで、相場の波を上手に乗り越えられる可能性が高まります。長期視点で計画的な投資が、下落局面でも冷静に対応できる鍵となるのではないでしょうか。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii

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