
最終更新日:2025年07月11日
プラチナ価格が6月に急騰し、2016年来の高値に到達しました。プラチナの特徴とともに、6月の急騰の背景を解説します。金に比べ市場の厚みに欠けるプラチナは、価格が一気に動く傾向にあります。今回の急騰を見て飛び付くのはハイリスクのため注意が必要です。
目次
金の価格上昇が話題ですが、2025年に入り上昇は一段落しています。その中で、2025年6月にプラチナ価格が大きな上昇を見せました。プラチナ価格(米NYMEX:限月つなぎ)は、2023年半ばから1,000ドルを中心に前後する小動きが続きました。
しかし2025年6月に大きな上昇を見せて、一時1,400ドル台に到達。1,300ドル台半ばで取引を終えましたが、2016年来の高値水準であり、2025年6月の1ヵ月で急騰しました。
プラチナは白金とも呼ばれる希少な貴金属で、宝飾品、産業用途、そして投資対象として広く利用されています。見た目の美しさだけでなく、耐久性・耐腐食性に優れており、結婚指輪など高級装飾品にも利用されています。
産業分野では、自動車の排ガス浄化装置や石油化学装置、水素関連技術に欠かせない金属です。金は投資用途や宝飾用途が中心ですが、プラチナは産業用途が中心です。本特徴からプラチナは、景気や技術動向により価格が大きく変動する傾向があります。また、世界のプラチナ供給の大半は南アフリカとロシアに集中しており、地政学リスクが価格に影響しやすい金属です。
2025年6月にプラチナ価格は大きく上昇しました。その背景には複数の要因が重なっています。
第一は、供給不足の深刻化です。主要産出国である南アフリカでプラチナ鉱山の操業停止や洪水被害が相次ぎ、年間の生産量が大きく減少しています。供給量が減少する中で需要が維持・増加する状況が続いており、価格に上昇圧力がかかりました。
第二は、中国を中心とする需要の急増です。中国国内では、金価格の高騰により代替資産としてプラチナが注目され、宝飾品や地金の購入が活発になりました。2025年4月にはプラチナの輸入量が前年比で大幅増となり、相場を押し上げる要因となっています。
第三は、ETF(上場投資信託)などの投資マネーの流入です。金の割高感を警戒する投資家が金に比べ割安感のあるプラチナに注目し、投資マネーが流入した結果、需給が一気に逼迫したと見られます(金とプラチナの価格差を利用する投資方法も存在します)。
近年の金価格の上昇は大きな話題となりました。円ベースで見ると、2023年初から2025年6月までに約2倍の価格となっています。長く続いた金価格の上昇は、一部で金への高値警戒感も生んでいます。一方、プラチナ価格は2022年後半から1,000ドルを前後する低位安定状態にあったため、大きく上昇した金に比べ割安感があり、買いやすい水準にありました。
プラチナは産業用途中心の金属です。しかし近年の金価格上昇を背景に、高値警戒感から金を買えない投資家の資金が、プラチナ市場に流入したと見られます。しかしプラチナ市場は、金市場のように取引の厚みがある市場ではありません。このため少量の資金流入でも価格が大きく反応する傾向があり、6月は複合要因もあり、プラチナ価格は高騰した可能性があります。
6月にプラチナ価格は大きな上昇を見せました。複数の要因があるものの、金に比べるとプラチナは投資対象として見ると、取引の厚みに欠ける存在です。このため何らかのきっかけで、一気に値が動く一面があります。
プラチナ価格高騰は一時的な現象に留まる可能性もあります。一方、このまま資金流入が続き大きな上昇が続く可能性もあります。しかし、6月に大きく上昇したから、という短期的な考えでプラチナに飛び付くのは、値動きの大きさもあり、非常にリスクが高いと言えるのではないでしょうか。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii