最終更新日:2022年02月15日
宝石のカットはさまざまな種類があり、カッティングによってデザイン・輝き・価値が変わる重要な要素です。しかし、それぞれにどのような特徴があり、どのような宝石に用いられるカットなのか分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、宝石のカットの種類について、ファセットカットとカボションカットの違いから、代表的な11種類までを解説しています。自分が持っている宝石のカットの種類が知りたい方や人気のある宝石について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
宝石はカットや研磨をすることで輝き方やその価値が変わります。原石の種類や魅せ方によってカット方法は異なり、ファセットカットとカボションカットに大きく分けられます。
ファセットカット | ファセット(facet)とは日本語では切子面、すなわちカット面を意味します。平らに磨かれたカット面がさまざまな角度で組み合わさっており、幾何学的な形をしていることが特徴です。透明な宝石によく用いられるカット方法で、輝きを最大限に引き出します。 |
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カボションカット | 半球形に磨き上げるカットで、ファセットカットのようなカット面がありません。楕円形に仕上げられることが多いものの、中には三角形や四角形のものもあります。不透明の石によく用いられ、石そのものの模様やつやなどの美しさを生かします。 |
カットは細かく分けると全部で10種類以上に分けられ、中には希少価値の高いカットもあります。
宝石の持つ輝きや透明度を生かしたファセットカットでは、さまざまな角度から入射した光を美しく反射します。
ここでは、ファセットカットの代表例を8つ紹介します。宝石の種類によって相性の良いカットや人気のカットがあるため、どのような特徴があるのか知っておくと宝石選びに役立つでしょう。
光の反射や屈折率などを計算した上で、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すために考案されたカットです。ブリリアント(Brilliant)は輝くという意味があります。ダイヤモンドの代表的なカットとして世界中で人気があり、その需要の高さから高額で取引される場合が多い傾向です。
また、ダイヤモンドの鑑定書には「4C」と呼ばれる4つの基準があります。基準の1つであるCut(カット)の項目では、ラウンドブリリアントカットが採用されています。
宝石の上面が長方形または正方形で、角が丸みを帯びているカットです。ラウンドブリリアントカットと比べて独特な形をしており、クッションに似ていることからこの名前が付けられました。
歴史は古く、16世紀半ばから存在しています。当初はルビーやサファイアに施されていましたが、近年では婚約指輪のダイヤに施す人も多く、人気が高まっています。カット面が大きいため宝石の透明度を引き立たせ、より光り輝かせる効果があるカットです。
ローズカットは、16世紀から17世紀にかけて考案されたと言われる、長い歴史を持つカットです。24の三角形の面で構成されており、上から見ると円形、横から見ると山のような形をしています。カットを施しても宝石の重量が損なわれにくいため、厚みがない宝石に向いています。名前にローズと付いているのは、形がバラのつぼみに似ていることが由来です。
ローズカットの特徴は、カット面が大きく、わずかな光でも輝く点です。アンティークな雰囲気を持ち、ブリリアントカットと比べると自然で落ち着いた印象があります。控えめな輝きを持つローズカットは、派手に光る宝石が苦手な方におすすめです。
ジルコンカットは、ラウンドブリリアントカットを少し変形させたカットで、パビリオンと呼ばれる宝石の下半分の部分に、8つのカット面が加えられた多面体です。ジルコンという宝石の魅力を引き出すために考案されました。
ジルコンは光の屈折率が高く、宝石の内部に入ってきた光は2つの光線に分かれるという特徴があります。ジルコンカットを施すことで、ジルコンの屈折率を生かした、美しい輝きを生み出せます。なお、ジルコンカットはダイヤモンドにもよく施されています。
四隅が切り落とされた長方形をしており、名前の通りエメラルドによく施されます。ステップカットと呼ばれる研磨方法が用いられており、横から見た時にアウトラインが階段状となっています。ブリリアントカットと比べると、宝石の厚みが薄く輝き方は控えめですが、正面のカット面が大きいため透明度を引き立たせられます。
ダイヤモンドに施すこともありますが、内包物の少ない高い透明度のものにしか向きません。そのため市場に出回ることが少なく、エメラルドカットが施されたダイヤモンドの価値は高い傾向です。
バゲットカットは、ステップカットが用いられた長方形のカットです。エメラルドカットと似ていますが、バゲットカットは四隅が切り落とされておらず、シンプルでシャープな印象となります。
バゲットカットは、単体で魅せるというよりも、いくつも並べることでその魅力を発揮できるカットです。例えば、メインの宝石を彩る周囲の小粒の宝石によく選ばれます。ダイヤモンドに施されることも多く、婚約指輪などのサイドストーンとして人気があります。
長さ・幅・奥行きを出すカットで、ユニークな形をしています。コンケイブ(concave)とは、くぼみやへこみという意味です。円すい型にカットをし、隣り合うカット面同士に角度をつけて間に溝を作ります。くぼんだ部分で光が屈折するため、輝きをより引き出せることが特徴です。
作業工程が多く、伝統的なカットと比べると価格が高い傾向です。ダイヤモンドやクォーツなど、透明で明るい宝石によく用いられます。
しずくのような形をしており、宝石の表面が小さなカット面で覆われています。サファイアなどのカラーストーンによく施されるカットです。特徴的な形であるためカットの難易度が高く、高度な技術が必要とされます。まれにダイヤモンドにも施されますが、ラウンドブリリアントカットと比べて、大きな原石が必要で特殊な技術が必要となるため、価値も高くなります。
イヤリング・ネックレス・ペンダントに使われることが多く、カジュアルなシーンでも身につけやすいことが特徴です。
カボションカットはカット面がなく、丸みを帯びた形をしています。一般的には翡翠(ヒスイ)やオパールなど半透明の宝石や、トルコ石などの不透明な宝石に施されることが多い傾向です。
また、一部の宝石には特殊効果を持つものがあります。例えば、宝石の内側に白い光の帯が出現するアステリズム(スター効果)、光を当てると表面に猫の目のような光の線が出現するシャトヤンシー(キャッツアイ効果)などです。
ルビー・サファイア・エメラルドなど透明の宝石においても、宝石本来の深い色味などの美しさを楽しめるでしょう。カボションカットにもいくつかの種類があり、以下は代表例です。
シングルカボション | 底面が平らで表面のみが磨かれ曲線を描いており、横から見るとドーム型をしています。 |
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ダブルカボション | 底面と表面の両方が磨かれ、横から見ると楕円形になっています。シングルカボションカットを2つ背中合わせにくっつけたような形をしているのが特徴です。 |
ホローカボション | 宝石の底面がくぼんでいるカットです。内側に向かってくぼませることで空洞ができ、光が通りやすくなります。 |
カボションカットはファセットカットのような強い輝きはありませんが、宝石本来の質感を味わえるカットです。
宝石のカットは、ファセットカットとカボションカットの2つに分けられます。ファセットカットは、平らなカット面が組み合わさった多面体であり、光の反射や屈折により、キラキラした輝きを引き出せます。一方で、なだらかな曲面のカボションカットは、宝石本来の色つやを楽しむことができるカットです。
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