最終更新日:2021年09月02日
貴金属の象徴とも言える「金」は、ジュエリーなどのアクセサリーに使用する素材としても人気が高く、酸化しない金属としても有名です。そのため、長きにわたって使用することを想定した指輪やネックレスなどに対して、金をベースとしたゴールドアクセサリーを選ぶ人も多いと言えます。
しかし、金製品は変色や錆が生じやすいため、少しでも長く使うためには光沢や輝きを保つ方法を把握しておくことが大切です。
そこで今回は、酸化しないはずの金が酸化する理由や、金製品が酸化・変色した時の対処法および注意点を紹介します。
金は酸化しないことで知られていますが、厳密に言うと濃塩酸と濃酢酸の化合物である「王水(おうすい)」は、金を酸化させることが可能です。金に王水を使用することにより酸化した結果、変色や錆が生じます。
しかし、日常生活を送る中で王水を使用することはないため、金の酸化について疑問を持つ人もいるでしょう。ここでは、金が酸化する理由を解説します。
金をはじめとした金属の酸化は、酸素などの物質と反応した結果、陽イオンに変化することで生じます。一般的に金製品として扱われる製品には、金以外の物質が配合されているケースがほとんどです。
また、金は純度が高くなるにつれて重みが増し、柔らかくなる性質があります。つまり、純度の高い金は加工しにくく、重みによって身に着けにくいため、アクセサリーなどの制作には他の金属を混ぜることが多い傾向です。
金などに混ぜられる金属のことを「割金」と言い、割金は加工の容易さや強度の向上を目的としています。金属の種類は、銀・銅・パラジウム・ニッケル・亜鉛などが挙げられ、酸化しやすい金属と、酸化しにくい金属は下記の通りです。
酸化しやすい金属 |
|
---|---|
酸化しにくい金属 |
|
また、2種類以上の金属を混ぜた物質を「合金」と言い、金における合金はカラット(K)で表し、18Kや24Kなどと表記されます。金の純度を示したものであり、ダイヤモンドの重さを表現するカラット(Ct)とは異なります。
最も純度が高い金は、純度が99.9%以上の24Kです。24Kを原点として22K・18K・14Kの順で純度が低くなり、割金の含有率は増えます。
アクセサリーなどの金を使用した製品が酸化し、変色や錆が生じた時には、製品の購入店や販売店に相談するほか、自分での対処が可能なケースもあります。
ここでは、自宅などで手軽に実践しやすい対処法を紹介するため、金製品の酸化・変色に悩んでいる人はぜひ実践してみてください。
酸化還元反応とは、酸化した対象物に対し、酸化と逆の流れをたどる「還元」を実施して酸化前の状態に戻すことです。酸化還元反応を利用することで、金製品を酸化前の状態に戻すことができます。
金製品が酸化する原因の1つとして、割金として使用した金属に含まれる成分が、皮脂や空気中の成分と化合することが考えられます。
例えば銅が含まれるアクセサリーの場合、レモン汁や酢を材料とした水溶液を用意し、その中に酸化した金製品を浸してしばらく置いた後に水や湯で洗うことで、酸化前の状態に戻すことができます。
ただし、金製品に宝石が装飾されているアクセサリーなどに酸化還元反応を施すことで、接着部分の弱化や、接着物質の溶出によるダメージが生じる場合があります。宝石が装飾された金製品の酸化が気になる人に、酸化還元反応の利用はおすすめできません。
アクセサリー取扱店で販売されている専用クロスを使用し、該当箇所を拭くことで酸化・変色を緩和することが可能です。専用クロスには、界面活性剤や研磨剤などが含まれており、酸化している部分に使用することで「付着した汚れ」や「変色の原因となった物質」を除去できます。
界面活性剤は、金属に付着することで保護膜の役目を果たし、酸化に影響する物質からの防御が可能なため、新たな酸化を防ぐことができます。研磨剤には、小傷や錆などの汚れを落とす効果がありますが、本体の表面を傷付ける可能性もあるため、拭きすぎに注意しましょう。
金製品の黒ずみは、酸化ではなく「硫化」や「塩化」の可能性もあります。
硫化とは硫黄と化合することを意味し、空気・汗・温泉などに含まれる硫黄と、主に金製品に含まれる銀が反応した結果、黒く変色します。そのため、硫黄が含まれる温泉に入る人や、汗を頻繁にかく人は、こまめにアクセサリーを外すことが大切です。
硫化による黒ずみは、硫黄に対して還元反応を起こすことで黒ずみを改善することができます。自宅で実践できる方法として、アルミホイルを敷いた容器の中に、お湯と重曹を3対1の割合にした溶液を入れ、その中に対象の製品を入れることで黒ずみを取ることも可能です。
塩化とは塩素と化合することを意味し、金製品に含まれる銀や銅が反応した結果、黒く変色します。自宅でよくある例が、漂白剤の使用による塩化です。アクセサリーを身に着けたまま漂白剤に触ることで起こる現象です。
塩化も還元反応で改善することはできますが、自力での改善は難しいため、洗濯や炊事の時にはアクセサリーを外すことを意識することがポイントとなります。それでも塩化が生じた場合は、販売元や宝飾品の専門店などへの依頼が必要です。
これまで金製品が酸化する理由や対処法を紹介しましたが、状況によっては元の状態もしくは元に近い状態に戻すことが困難な場合もあるでしょう。金製品は、日常的に取り扱いや手入れの方法を意識することで、酸化を予防しつつ、美しく保つことができます。
ここからは、金製品の酸化を防ぎ、美しく保つためのポイントを2つ紹介します。
貴金属製品の多くは製品の情報を示す刻印が刻まれており、金製品に関しても同様です。例えば「18K YG」と記さている場合、「18金のイエローゴールド」だと分かります。
金製品を保持する場合、刻印を確認することで、取り扱い方や手入れについて適切な方法を判断することができます。
例えば「22K」などの金の含有量が多い製品は傷が付きやすいため、専用クロスなどでの拭きすぎに注意しましょう。また、「3M(3ミクロンのメッキ加工)」の表記がある製品はメッキでコーティングされているため、研磨剤の使用は避けてください。
金製品を美しく保つためには、こまめに手入れを行うことが大切です。日頃からメンテナンスを意識することが良い状態を保持できるポイントであり、費やす労力も最小限に抑えられます。
金属は汗や皮脂に反応するため、アクセサリーの場合は自宅では極力身に着けず、外した後は柔らかい布で汚れを拭き取ることが重要です。宝石などの装飾がある場合は、柔らかな毛先のブラシを使用し、細かい箇所の汚れも落とします。
曇りやくすみが気になる場合は、専用クロスでの拭き取りや、中性洗剤を入れた溶液の中で、柔らかな毛先のブラシなどで擦る方法もあります。ただし、宝石が装飾された金製品には紹介した手入れ方法がそぐわないこともあるため、注意が必要です。
アクセサリーなどの金製品の酸化は、金そのものではなく、割金として使用される金属が何らかの刺激に反応することにより生じます。金製品の酸化を防ぎ美しく保つためには、適切に扱いこまめに手入れすることが大切です。金製品が酸化した時は、当記事で紹介した対処法を試してください。
さまざまな方法を試しても症状が改善しない場合は、金製品に対応している買取業者の利用を視野に入れてはいかがでしょうか。
買取本舗七福神では、酸化による変色や錆をはじめ、劣化が見られるゴールドアクセサリーやブランド品も査定対象です。査定のみの依頼や商品の持込買取・宅配買取も可能なため、金製品の買取を検討している人はお気軽にお持ち込みください。