最終更新日:2021年07月29日
貨幣やプラチナをはじめとする他の貴金属と比べて価値が安定している金は、安全な資産として高い人気を誇っています。そのため、金の売買をして利益を得たり、投資をしたりしたいと考えている人は少なくありません。
しかし、物を売買する際には、消費税が気になるものです。よりお得に金の売買をするためにも、納税トラブルを避けるためにも、金の売買における消費税の知識は、蓄えておいたほうが良いでしょう。
そこで今回は、金の売買時に生じる消費税や金の売却で得た消費税の納税義務、消費税以外の金に関わる税金について解説します。
日本国内で金を買うときには、消費税を上乗せした金額を支払う必要があります。一方、日本国内で金を売るときには、反対に消費税を上乗せした金額を受け取ることが可能です。
以下では、金を買う場合の消費税と、金を売る場合の消費税について詳細に解説します。
2021年7月時点の日本では、すべての商品・サービスに10%の標準税率、もしくは8%の軽減税率が上乗せされています。軽減税率の対象は、酒類や外食などを除く飲食料品と新聞です。
金は、軽減税率の対象ではありません。そのため、金を買う際には10%の消費税が加算されます。
たとえば、10万円分の金を購入したい場合は11万円、100万円分の金を購入したい場合は110万円の支払いが必要です。金の購入金額が高ければ高いほど、より多くの税金を支払うことになります。
消費税の納税義務者は、消費者ではなく事業者です。しかし、消費税は納税義務者と実質負担者を別にすることで税負担の水平的公平を図る「間接税」という扱いであるため、消費者が消費税を負担するよう求められます。
商品・サービスを販売・提供する事業者は、納税の義務こそ課せられてはいるものの、消費税を負担する責任までは負わされていません。そのため、事業者は消費者に対して消費税を負担するように求めることができます。
金を売る場合も、例外ではありません。金を売る場合には、10%の消費税が加算された金額を受け取ることができます。
たとえば、10万円で金を売る場合は1万円、100万円で金を売る場合は10万円を上乗せして請求することが可能です。金の販売金額が高ければ高いほど、より多くの消費税を受け取ることができます。
金を売れば、必ず納税の義務が課せられるわけではありません。消費税の課税対象に当てはまらない場合は、消費税として徴収した代金をそのまま利益にすることができます。
消費税の課税対象となる事業者は、法人と個人事業主です。ただし、以下に挙げる条件のいずれかに該当する場合には、納税義務が免除されます。
なお、資本金が1,000万円を超える法人などは、事業開始後すぐに納税義務が生じるため、注意が必要です。
法人でも個人事業主でもない個人の場合、消費税の納税義務は生じません。ただし、短期間に何度も金を売却すると、営利目的の課税対象取引と判断され、納税義務を課せられる場合があります。
金を売って得た消費税は、所轄の税務署に確定申告し、納付しましょう。消費税の申告・納付期限は、下記のとおりです。
個人事業主 | 翌年の3月末日まで |
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法人 | 事業年度終了日の翌日から2か月以内 |
個人事業主の場合、消費税の課税期間は1月1日から12月31日までの1年間です。そのため、令和3年1月1日から12月31日までに得た消費税は、令和4年3月31日までに税務署に確定申告し、納付する必要があります。
一方、法人の課税期間は、各法人が定める事業年度です。事業年度を4月1日から翌年の3月31日までと定めている法人の場合、毎年4月1日から5月31日までの間に消費税を税務署に確定申告し、納付します。
消費税の納付は、さまざまな方法で行うことが可能です。消費税の納付方法には、以下の5つがあります。
なお、直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者は、中間納付が必要になることも念頭に置いておいてください。
消費税の課税対象に当てはまらなくても、油断は禁物です。金を取引する際に発生する可能性がある税金は、消費税だけではありません。所得税・贈与税・相続税といった税金が生じる可能性があるため、注意が必要です。
以下より、金にまつわる所得税・贈与税・相続税について、それぞれ解説します。
個人が金を売却して得た利益は、譲渡所得扱いとなり、所得税の課税対象となります。ただし、金の売却益がすべて所得税の課税対象となるわけではありません。譲渡所得には、年間50万円の特別控除額が定められています。そのため、金を売却して得た利益が50万円以下の場合には、所得税は課せられません。
所得税の課税対象となる所得は金の保有期間によって異なるため、確認が必要です。金を購入してから5年以内に売却した場合には「短期譲渡所得」、5年を超えてから売却した場合には「長期譲渡所得」とされます。
課税対象となる所得の算出方法は、下表のとおりです。
短期譲渡所得 | 売却価額-(取得価額+売却費用)-特別控除額50万円 |
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長期譲渡所得 | {売却価額-(取得価額+売却費用)-特別控除額50万円}×1/2 |
短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合には、先に短期譲渡所得から特別控除を差し引き、残った特別控除を長期譲渡所得から差し引きます。
金銭のやり取りなしに個人から金を受け取った場合には、贈与税がかかります。ただし、贈与税には110万円の基礎控除があるため、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った金の時価評価額が110万円以下であれば、贈与税は課せられません。
贈与税の課税額は、贈与した人は誰か、贈与を受けた人は誰かによって異なるため、注意が必要です。
贈与税の課税方法には、「一般贈与財産用」と「特別贈与財産用」の2つがあります。それぞれの課税方法は、以下のとおりです。
○一般贈与財産用
兄弟間や夫婦間、親から未成年への贈与などには、一般贈与財産用の税率と控除額が適用されます。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 200万円以下 10% - 300万円以下 15% 10万円 400万円以下 20% 25万円 600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 50% 250万円 3,000万円超 55% 400万円
引用:国税庁「No.4408?贈与税の計算と税率(暦年課税)」
○特別贈与財産用
祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子・孫などの直系卑属への贈与には、特別贈与財産用の税率と控除額が適用されます。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 200万円以下 10% - 400万円以下 15% 10万円 600万円以下 20% 30万円 1,000万円以下 30% 90万円 1,500万円以下 40% 190万円 3,000万円以下 45% 265万円 4,500万円以下 50% 415万円 4,500万円超 55% 640万円
故人の財産として金を相続した場合には、相続税が発生します。
ただし、課税対象となる相続財産の合計額が基礎控除額を上回らなければ、相続税を納める必要はありません。基礎控除の計算方法は、下記のとおりです。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
なお、相続財産の合計額は、下記の計算式で算出できます。
相続により取得した財産の価額+相続時精算課税の適用を受ける贈与財産-(非課税財産の価額+債務+葬式費用)
各相続人の課税価格は、下記の計算式で算出されます。
相続財産の合計額+相続開始前3年以内に受け取った贈与財産の価額
ただし、相続財産の合計額が赤字だった場合には、相続財産の合計額を0円として計算してください。また、1,000円未満は切り捨てとなります。
各相続人の取得金額に対する相続税の税率と控除額は、下表のとおりです。
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額 1,000万円以下 10% - 3,000万円以下 15% 50万円 5,000万円以下 20% 200万円 1億円以下 30% 700万円 2億円以下 40% 1,700万円 3億円以下 45% 2,700万円 6億円以下 50% 4,200万円 6億円超 55% 7,200万円
金を買うときには、販売価格に10%の消費税を上乗せした代金を支払う必要があります。一方、金を売るときには、買取価格に10%の消費税分を上乗せした代金を受け取ることが可能です。
なお、法人や個人事業主の場合には、消費税の納税義務が課せられます。一方、個人が金を売る場合には、営利目的でない限り、消費税の納税義務を課せられることはありません。ただし、金には、所得税・贈与税・相続税が課せられるケースもあります。
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