
最終更新日:2025年5月26日
金は国内外で先物取引がなされており、特に米国では先物取引の一部内容が開示されています。金などの商品(コモディティ)価格は大口投資家の売買に影響される傾向がありますが、売買データの分析で大口投資家の動向把握が可能です。こちらの記事では2025年5月26日時点での米商品先物取引委員会(CFTC:U.S. Commodity Futures Trading Commission)のデータ及び金ETF「SPDRゴールド・シェア」の金の保有高推移を価格とともに見ていきます。
米国金先物(NY金)について、CFTCが開示している建玉明細は以下の推移となっています。
前回(25.4.28掲載)
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
3/25 | 511,482 | 213,505 | 38,773 | 174,732 | 3,056.3 |
4/1 | 498,746 | 204,833 | 62,834 | 141,999 | 3,148.5 |
4/8 | 444,746 | 175,393 | 44,407 | 130,986 | 2,998.3 |
4/15 | 465,351 | 166,360 | 46,546 | 121,854 | 3,392.0 |
4/22 | 465,351 | 166,360 | 45,458 | 120,902 | 3,392.0 |
今回
日付 | 総取組高 | 大口買い | 大口売り | 差し引き | 価格($、中心限月) |
---|---|---|---|---|---|
4/29 | 451,868 | 150,715 | 44,820 | 105,895 | 3,327.6 |
5/6 | 452,414 | 144,383 | 42,292 | 102,091 | 3,441.8 |
5/13 | 440,842 | 144,410 | 43,183 | 101,227 | 3,254.5 |
5/20 | 448,000 | 149,149 | 41,520 | 107,629 | 3,292.6 |
参考:Commitments of Traders | CFTC
総取組高(市場全体の取引残高)は3月後半の511,482枚がピークとなった後、4月後半以降は440,000~450,000枚での推移が続いています。
大口の買いも4月1日には20万枚あったものが、5月は14万枚まで減少し、「差引」も3月25日の17万枚から5月には10万枚まで減少しました。市場全体の金に対する関心の後退、そして大口投資家の撤退が進んでいます。ただし価格は4月前半に3,000ドルを割れる場面もありましたが、3,000台前半での取引が継続中です。
4月後半以降、総取組高や「差し引き」は、前回の掲載から若干下の水準で推移しています。しかし金価格は前回とほぼ同水準です。建玉情報が価格に先行する場合もあるため、今後金価格は緩やかに下落に向かう可能性もあります。いずれにしても今年前半までのように、建玉情報からも価格の動きからも上昇一辺倒であった金市場は、ピークアウトする状態となりました。
次に現物の金を保有する金連動型ETF・SPDRゴールド・シェアの金保有残高及び価格推移を見てみましょう。
前回(25.4.28掲載)
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
3/25 | 929.35 | 278.70 |
4/1 | 931.36 | 289.18 |
4/81 | 925.91 | 281.13 |
4/15 | 953.15 | 298.11 |
4/22 | 947.70 | 314.47 |
今回
日付 | 金保有高(トン) | 価格(ドル) |
---|---|---|
4/29 | 946.26 | 307.31 |
5/7 | 937.66 | 311.08 |
5/13 | 936.50 | 301.36 |
5/20 | 921.87 | 297.14 |
金の保有高は900トン台が続き、前回と同水準を維持しています。
一方、価格は概ね300ドル台で推移しています。5月20日は300ドルを割れて取引を終えましたが、翌日21日、22日は300ドルを回復しており、300ドル割れは一時的となりました。
全体として見ると、ETFデータは前回から大きな変化を見せていません。またCFTCのデータと同様にETFでも、年初までの保有高の増加と価格の上昇が連動する状態を終えてピークアウトしています。
ドル建ての金価格は5月前半に一時的に年初来高値近くまで上昇し、終値ベースでは高値を更新しました。その後反落したものの、年初来高値圏での推移が続いています。
先物データ、ETFデータともに昨年から年初までの、価格と保有高の上昇が連動する状態を終えており、金市場は新たな段階に入っています。
足元で停滞する金価格ですが、値動き的には高値圏を維持しており、再度高値更新に向け上昇を見せることはあるのか、その行方が注目されます。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
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