
最終更新日:2025年04月08日
日本時間4月3日朝にトランプ関税の詳細が発表された結果、日米共に株式市場が急落するなど混乱が生じています。ただしリスク回避の金買いは生じておらず、金価格も若干下落しています。
米国の同盟国である日本にとっても予想外の展開となったトランプ関税について、発表後の金融市場を振り返ります。株式市場の急落はあるもののリスク回避の金買いは生じておらず、今後は金価格の上昇や株式市場の戻りが生じるか注目されます。
大統領再選後、関税の引き上げを公言していたトランプ大統領が日本時間4月3日朝、遂にその詳細を発表。米国と対立する中国への関税引き上げは事前予想通りでしたが、同盟国・日本を含む世界各国に関税を課す内容に世界は衝撃を受けました。
同盟国などにはそれほど大きな影響はないのでは?、という楽観論を完全に裏切る形となりました。関税の税率は、相手国との貿易赤字額を米国への輸出額で割りその数字を2で割っただけ、との説が浮上するなどトランプ政権の本気度が問われる部分もあります。しかしトランプ関税の詳細が明らかとなり、金融市場は大きく混乱しています。
トランプ関税の発表後、日米の株式市場は急落。それまで35,000円台で取引されていた日経平均は発表日の4月3日と翌4日の2日とも下落して33,780円で取引を終えました。昨年8月に米国の景気先行き懸念から株式市場は急落しましたが、その際の下落水準に到達することに。また週明けの株式市場も下落から始まり、7日(月)の日経平均は▲2,644円安の31,136円で取引を終えています。
米株式市場も同様に主要3指数揃って下落。その中で特に下落しているのがナスダック総合指数です。トランプ関税の発表前から下落が進んでいましたが、昨年末から2月まで20,000ポイントを前後していた状態が発表前は17,000~18,000ポイント台、そして発表後は15,000ポイント台まで下落。ナスダック総合指数も日経平均同様に、昨年8月の株式市場の急落時と同じ水準まで下落しています。
米株式市場は昨年大きく上昇しており、トランプ関税発表後の下落があっても昨年からはまだ上昇している状態です。しかしトランプ関税の発表は、米国を含め各国の株式市場に大きな影響を与えました。
株式市場を混乱に陥れたトランプ関税の発表ですが、金価格も下落が進みました。既に金価格は3月にトランプ関税のリスク回避を織り込む形で上昇していましたが、発表後の4月3日と4日のいずれも下落しています。4月1日は節目価格15,000円を超えて取引をスタートした金価格(国内金標準先物、限月つなぎ)でしたが、2日以降は下落が進みました。4月4日は14,458円で取引を終え、3月半ば以降の上昇幅を戻しています。株式市場に比べると金価格の下落は限定的ですが、株式市場の急落を契機とするリスク回避の金買いは、トランプ関税の発表後に生じていません。
また、ドル建ての金価格も同様にトランプ関税の発表後に下落が進展。4月2日には3,200ドルに一時到達していたものの、4日には3,000ドル台 (COMEX金先物、限月つなぎ)まで下落しました。
株式市場の急落によるリスク回避局面にあるものの、金価格は上昇しておらず、今後金価格が上昇するのか、株式市場が戻しを見せるのか、注目される状況にあります。
トランプ関税の今後の行方は混沌としています。4月3日に発表されたトランプ関税を、金融市場も実業界もまだ消化し切れていません。ただし投資や資産運用の観点では、ナスダック指数もまだ昨年の上昇幅を一定幅維持しており、金価格も日米共に大きく上昇した3月分の上昇幅を一定幅維持しています。このためトランプ関税発表直後の段階で焦っているなら、ポジションの持ち過ぎ(もしくはレバレッジのかけ過ぎ)の可能性が高いです。いったん保有高を減らすなどして、冷静さを保つ環境とすることが必要です。
トランプ関税劇場はまだ幕が上がったばかりで、今後どのような展開となるか分かりません。少なくとも途中退場とならぬようリスク管理を行い、冷静にトランプ関税劇場を見ていられる状態とすることが大切ではないでしょうか。
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金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、IPO関連記事、資産運用記事などを執筆、みんかぶなど複数媒体に寄稿中。また過去多数のIPOやM&Aに関与しブックライティングやインタビューも手掛けている。 ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。 Xアカウント @writerishii
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